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リスタート元年は上々の締めくくり       夏明けの新章へ

松本山雅FCが、移行期の特別リーグJ2・J3百年構想リーグを26位で終えた。地域リーグラウンドは8勝10敗の負け越しで終えたものの、プレーオフラウンドは第1戦でJ2モンテディオ山形に勝つなど爪痕は残した。総括すれば、ベテラン指揮官・石﨑信弘監督が積み上げてきた哲学の輪郭が見えてくる。夏明けの新章へ続く踊り場で、チームに残ったものをたどる。

 石﨑監督の就任から始まったシーズンは、明確なスタイルを掲げてのスタートだった。前線からのプレッシングと、奪ったボールを攻撃に直結させる意識。3月14日の第6節AC長野パルセイロ戦での5―0、ゴールデンウィークの連戦中にアウェイで挙げたFC岐阜戦の3―0など、新スタイルが結果と結びついた試合もあった。
 一方、相手がロングボールを多用したり巧みな立ち位置を取ってプレスをはがしてきたりする試合は、苦戦が続いた。第18節福島ユナイテッドFC戦はPK戦の末に敗れ、7位でプレーオフへと進んだ。負け越しという数字の裏には、戦い方の引き出しを試し続けた半年間が横たわっている。
 通底した課題は、「決め切る力」と「ホームでの勝率」だった。プレーオフ最終戦の奈良戦後、石﨑監督は「今シーズン戦った中で一番悪い内容のゲーム」と振り返ったうえで、「チャンスはあるけどゴールが生まれない。シーズンを通しての課題」と認めた。MF村越凱光も同じ手応えを口にする。「前から(プレスが)ハマって相手がビビって蹴ってくれる状況をつくることができれば勝てる試合が多かった。それができていない試合は負けにつながる試合が多かった」。
 一方、FW井上愛簾は「『(サンプロ)アルウィンが嫌だ』とアウェイチームに言わせるようにしていきたい」。ホームでの勝利を最終戦で届けられなかった悔しさを口にし、さらなる完成度を追求する8月からは新たな2026―27シーズンが始まる。

 そして最終戦の奈良戦は、引退が発表されていたDF高橋祥平とDF小川大貴が現役最後のピッチに立った日でもあった。引退セレモニーで、小川は「J2昇格という夢は叶えることはできなかったけれど、その思いは後輩たちに託し、僕も陰ながら応援したい」とスピーチした。
 サンプロ アルウィンに集う松本山雅のサポーターが、送り続けた声援と拍手。ホームゲームの平均観客動員数は10,000人を超え、リスタートすべく大幅刷新したチームの背中を力強く押し続けた。緑の力が再び勢いを強めていることを、如実に示したシーズン。8月に始まる次の新章で、その答えが少しずつ姿を現していく。



取材/大枝令