2026年7月5日、松本市の「百瀬整形外科スポーツクリニック(オルソニオ)」で開催されたサッカースクールは、冒頭から子どもたちの興味を強く引きつけた。参加した小学生たちにスタッフが資料を配布し、「今回のワールドカップで南野(拓実)選手が代表に選ばれていない。理由を知っている人は?」と問いかけると、「ケガ」と声があがった。スタッフは「そう。だから防ぐことが大事」と語り、続けて三笘薫選手のドリブルの姿勢の写真を示しながら、姿勢の良さや〝パワーポジション〟の重要性を解説した。一方で、ディフェンス側の選手の背中が丸くなっている例を挙げ、「こうした姿勢はケガにつながりやすい」と子どもたちに理由を分かりやすく伝えた。

この日行われた「1Dayスクール ~障害予防×クーバー・コーチング~」は、個人技術・戦術指導を専門とする「クーバー・コーチング・サッカースクール松本校」と、スポーツ医学の専門機関である同クリニックが初めて連携して実現した特別プログラム。一般参加を含む19人の子どもたちが全天候型の人工芝ピッチで熱心に取り組んだ。

同クリニック院長の百瀬能成医師は、松本山雅FCのチームドクターも長年務める。今回の企画は、同校コーチの中島亮さんが「ケガで辛い思いをする子を減らし、より長くサッカーを楽しんでほしい」と、施設利用をきっかけに約3年温めてきた構想を形にしたものだ。中島さんは「成長期に入る前のこの時期に正しい習慣を身につけることが、怪我予防と技術向上に直結する」と強調する。
メディカルセッションでは、理学療法士やトレーナーら9名の専門スタッフが「膝の成長期の障害と身体の使い方」をテーマに指導を行った。クリニックの理学療法士で講師を務めた山室慎太郎さんは、現代の子どもに多いとされる身体の硬さや猫背を指摘し、スポーツの負荷に耐えられる身体づくりの重要性を説いた。子どもたちは跳躍距離の測定や柔軟性チェック、スプリントからの止まり方などに挑戦し、正しい姿勢=パワーポジションがパフォーマンス向上と怪我予防の基盤であることを体感した。



山室さんは「自分が正しい姿勢を取れていないと気づくだけでも予防の一歩になる」と語る。参加した小学6年生の男子は「オスグッドや怪我をするときもあるから、ちゃんと意識することが大事とわかった」と述べ、早い段階から正しい知識を得る意義を実感していた。
中島さんは「今後は膝以外の部位や、身体の使い方を学ぶセッションなども継続して開催したい」と展望を語る。子どもの熱意を大人が医学的知見で支える仕組みは、松本のジュニアスポーツ界の新たなスタンダードになっていきそうだ。



【クーバーコーチング松本校 コーチ 中島亮 さん】

【百瀬整形外科スポーツクリニック理学療法士 山室慎太郎 さん】

取材・撮影/生田和徳
