つま先から頭のてっぺんまで、全身が雄弁に楽しさを物語る。まばゆい笑顔が、軽やかなステップが、あふれ出す思いが、観客の心をつかんで離さない。「見る者を幸せにするダンス」。スーパーボーイズのステージには、そんな言葉がふさわしい。
キレのあるステップを披露するメンバーは、それぞれがダウン症や自閉症などの個性を持ちながらダンスに打ち込む。8年前にダンスチームとして結成し、2023年3月現在は13歳から26歳までの5人が所属。養護学校や自治体主催のイベント、プロ歌手の前座など、さまざまなステージで活躍している。生き生きと踊る姿に、「『癒される』とよく言ってもらいます」と、保護者代表の三谷聖子さんは微笑む。
練習は毎月1回。安曇野市のダンス教室「ストリートダンスカンパニー 舞遊人」のスタジオで、同教室の飯森英夫講師のもと行われる。結成当初からのメンバーである三谷優也さんは、レッスンを受けて技術的にも上達。「ここに来てよかった」と表情をほころばせる。もともと身体を動かすのが好きで、「ダンスをするのが一番好き」とはにかみながら話す。同じく初期メンバーの青木謙太さんも、「皆が笑顔でがんばっている。このチームで24時間テレビに出たい」と満開の笑顔を見せる。
ハンデがあろうとなかろうと、好きなことに打ち込む熱意は変わらない。各々のメンバーが「踊るのが大好き」と笑い、瞳を輝かせながらも真剣な表情で指導に耳を傾ける。最初はアイドル曲の振り付けを模倣する“コピーダンス”を中心に取り組んでいたが、向上心の高さを受けた飯森講師が「基礎からしっかり教えたい」と方針転換。ダンス教室としては長めの90分を設定し、現在はオリジナルの振り付けを中心に、本格的な技術の向上を目指す。
「彼らはすごく素直で、純粋にダンスが好きな気持ちが伝わってくる。初心を思い出させてくれるし、教えることで逆に元気をもらっている」。飯森講師は温かな視線を向ける。「舞遊人」代表として2003年からダンス教室を営む傍ら、スーパーボーイズへの指導も5年以上続ける。「皆、舞台の上で本当にキラキラしている」と目を細めた。
次回の舞台は5月3日、「舞遊人」設立20周年記念公演の前座でステージを披露する。木漏れ日のようにきらめく笑顔で、観客席によろこびと幸せを届けてくれるだろう。
取材・撮影/佐藤春香