地域スポーツ

【VC MAST】          楽しみながら育む バレーの未来

バレーボールを楽しむ気持ちを大切に、高校や一般まで続けられる場を提供したい―。その想いから生まれた「VC MAST」は、中信地区の中学生バレーボーラーたちの新たな活動拠点として注目を集めている。
 チームの誕生は、小学生クラブチーム「松本マーヴェラス鎌田」の卒業生たちが、部活動のオフの日に練習に訪れるようになったことがきっかけだった。「最初は小学生と一緒に練習をしていたが、徐々に人数も増えてきたので別に練習場所を設けるようになった」と高山昭光代表は振り返る。


 チーム名には、中信エリアの子どもたちに広く参加してほしい―という願いが込められている。松本(M)、安曇野(A)、塩尻(S)、大北(T)の頭文字を組み合わせた「MAST」。地域に根差したクラブを育てたいという強い思いが表れている。
 現在は一般チームとヤングチーム(中学生)の2カテゴリーで活動。ヤングチームは月・金・土曜の週3回の練習を基本に、県予選やリーグ戦などの各種大会に出場している。
 「大会の勝敗よりも、大人になっても続けたい、バレーボールが好きという気持ちを忘れないでほしい」。長年、小学生年代の育成に携わってきた中谷輝幸コーチはそう語る。「小学生の時にバレーボールが大好きだった子が中学年代を経て、高校では続けないと聞いた時はとても残念だった」という経験から、基礎力の強化を重視した指導を行っている。



 練習では一般チームと同じ高さのネット(2m24cm)と5号級のボールを使用。高校生や一般チームとの練習試合も可能で、高校での部活動へのスムーズな移行も視野に入れる。バスやサーブ、アタックといった技術練習に加え、筋力トレーニングなども実施している。
 キャプテンの小林朔來(2年)は「楽しくバレーボールをやって勝てるのが一番いいけれど、それだけで試合に勝つことは難しい。基礎練習を重点的にやることで、試合で勝った時に、より一層嬉しく感じることができる」と、地道な取り組みの重要性を実感している。
 中学校の部活動が地域移行へと進む中、VC MASTの存在価値はさらに高まりそうだ。経験者はもちろん、中学から始める初心者にとっても、バレーボールを楽しみながら基礎から学べる貴重な場となっている。


【キャプテン 小林朔來さん】
バレーボールは小学2年生から始めました。元々は人と話すことがそんなに得意ではありませんでしたが、バレーボールを通して自分からコミュニケーションを取れるようになりました。3年生が引退するまでは先輩たちに頼っていましたが、これからはキャプテンとして、チームを引っ張っていきたいと思っています。

取材・撮影/児玉さつき