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【NPO総合体操クラブWing 基礎クラス体験会】仲間とともに 楽しく真剣に新体操を

陽射しの差し込む体育館に笑顔が輝く。松本市~安曇野市を中心に新体操教室を開く、NPO総合体操クラブWing 。小学1年生~6年生の基礎クラスでは、体格も経験値もさまざまな子どもたちがともに練習に打ち込む。「子どもたちの身体と心を磨き、笑顔を引き出せる指導を目指している」と、講師の伊藤明美さんは優しくほほえむ。
 この日は「無料体験会」と称して松本教室が開催され、28人のクラス生に加えて7人の新規体験者が参加した。レッスンはウォーミングアップのダンスに始まり、「やわらか体操」と称した柔軟体操、コーディネーショントレーニングへと続く。講師たちは一人一人の間を回って「すごい、できているね」と褒め、「初めて来た人に教えてあげてね」と優しく言葉を重ねる。

 「声を出すことで心も開いてくる。皆がにこやかに行えるように工夫している」という伊藤さんの言葉通り、最初は恥ずかしがっていた子どもたちもコミュニケーションを交わすうちに表情をほころばせ、和気あいあいとレッスンに取り組んだ。背倒立やブリッジなどの徒手体操、リボンを使った手具体操など競技性の高いレッスンではクラス生が初参加の受講生にコツを教えたり、お手本にやってみせたりとリードしていた。
 6年生の小林姫歌さんは「みんなが優しくて協力し合える」と笑顔を見せる。年中児の頃から体操教室に通っているといい、「もっと日々しっかり取り組みたい」と背筋を伸ばした。「いろんな学年、学校の友達と関わることによる『心づくり』も大切な取り組みのひとつ」と伊藤さん。「美しいジャンプや身体の柔らかさはもちろん大切だが、挨拶や返事など人としての礼儀を大事にしている」とうなずく。
 レッスン後には、競技用レオタードに身を包んだ「競技クラス」の6年生2人が、参加者の前で音楽に合わせてリボンとフープの演技を披露。全員が真剣に見守った。競技クラスは基礎クラスからオーディションを受け、育成コースで練習を積んだ選手たちが所属できるクラス。オーディションを目指す3年生の花岡あずささんは「身体が柔らかいので、美しく踊れる選手になりたい」と熱意をのぞかせた。
 体験参加の松尾怜奈さんは小学1年生で、「新体操が好き」といつの間にか自宅で練習を始めていたという。「ストレッチが楽しい」とすんなり180度開脚をこなしつつ、背丈の倍以上も長いリボンを一生懸命なびかせていた。「本当にできるのかな、と緊張しながら申し込んだ」と話す母は、「お姉さんたちが優しく教えてくれるのが印象的。年齢を超えて交流があるのが良いし、和やかで楽しそう」と顔をほころばせた。
 仲間とともに楽しく、美しく、しなやかに成長を。体験会は年少~年長児が対象の「幼児コース」も同日開催。他教室でも順次開催し、新たな仲間とともに春を迎えている。

取材・撮影/佐藤春香