国内トップリーグで奮闘した経験を、次世代に伝える。VC長野トライデンツでプレーした選手たちが2021年に「NEXWAY SC BOARS」を創設。男子チーム監督を務める杉山嵩樹代表、女子チームの杉山奨弥監督、小河原拓磨ヘッドコーチという強力な指導陣が、「本気で日本一に挑戦する」というコンセプトを掲げる。

「自分は特別な選手ではなかった」と杉山代表は振り返る。「中学でも一度も選抜に選ばれなかった。それでもバレーボールが楽しかったし、小学生の頃から夢見ていた『プロになりたい』という目標を諦めなかったから達成できた」。その経験から「継続が大事。諦めなければ夢はかなう」という思いを、指導の軸に据えている。

子どもたちが夢を諦めてしまう原因の一つは、「自分には才能がない」と思い込んでしまうこと――とみる。だからこそ杉山代表は、諦めないことの大切さを繰り返し強調。女子チームの中島和香主将は「練習中に技術的に難しいことがあっても諦めず、自分ならできると信じて続けている」と、その教えを実践する。


同時に日本一という高い目標に向け、指導陣は「中学生だからここまで」という限界を設けない。プロと同じ戦術やシステムを取り入れた現代のバレーボールを手ほどき。単なる勝利至上主義ではなく、選手たちの伸びしろを最大限に引き出し、将来の可能性を広げるという考えに基づく。男子チームの主将・吉澤一翔も「高いレベルでのバレーボールができ、技術面も成長している」と手応えを語る。

その成果は着実に表れている。今シーズン、男子は第27回全国ヤングバレーボール大会でベスト16。11月の中学新人戦南信大会では男女ともに優勝を果たした。「北信越出場を目指したい」と中島主将は力を込め、吉澤主将も「新人戦県大会優勝、そして来シーズンは全国大会優勝」を掲げる。
英語でイノシシを意味する「BOARS」の名を冠したチームは、猪突猛進の精神で日本一を目指す。「本気で頑張ったという経験から何かを感じ、成長へとつなげることが、スポーツに打ち込む価値」と語る杉山代表。プロの経験を活かした指導と「諦めない心」を育て、夢に向かって全速力で突っ走る。


【杉山 嵩樹 代表】
日本一を目指すため重要なのは「本気さ」。本気で頑張ったという経験から何かを感じ、成長へとつなげることがスポーツに打ち込むための大きな価値だと思います。だからこそ、選手たちには本気で頑張って欲しいと思います。

【男子キャプテン 吉澤 一翔 さん】
小学4年生でバレーボールを始めました。「BOARS」では諦めないことの大切さを学びました。技術的な壁に当たっても諦めず、練習を積み重ねて自信へとつなげる。そうすることで壁を乗り越えられると信じて努力しています。

【女子キャプテン 中島 和香 さん】
強くなるためにはどうしたらよいかを考え、挨拶など、バレーボール以外のこともきちんとやるように心掛けています。今シーズンは全国大会出場が叶わなかったので、来シーズンは女子も全国大会出場を目指します。
取材・撮影/児玉さつき
