ジュニアユース(中学生年代)のサッカースクール「Kurumizawa Soccer
School(KSS)」は、子どもたちの向上心に応える場だ。2011年に設立し、サッカー好きなら誰でも自由に参加できる環境を整備。胡桃澤庄治代表は「サッカーを通じて、真剣に練習をすることで成長する自分自身を楽しんでほしい」と思いを語る。
「切り替えろ!」「パス通すな!」「シュート狙える!」――。選手たちの声がグラウンドに響きわたる。チームに分かれての実戦形式。練習の参加自体も自由なため、1年生から3年生まで集まったメンバーで年齢関係なくチームが割り振られる。ポジションも柔軟に構成され、DFがFWに挑戦することも。選手たちはさまざまな経験を積むことができ、時には1年生が3年生に向かっていく。体格差をものともせず果敢にボールを奪いにいく球際の局面では、チームメイトからも応援の声が上がる。両サイドを広く使いながらゲーム展開する中、それぞれが自分の課題や問題点を洗い出し、スキルを磨いていく。
現在は旭町中や山辺中、信大附属松本中など、松本市の中学校から約50人の選手が集まる。「この世代は何よりサッカーを楽しむことが大切」。胡桃澤代表は自主性を尊重した指導を心がけながら、遠征や試合への参加もできる限り行い、選手たちの実戦機会を守り続ける。またUー13のナイターリーグに参加するなど、公式戦に出る機会が少ない子どもたちに実戦経験を積む場も提供する。AFC杯や、松本アルプスライオンズクラブ杯、copa de roda in matsumotoなどのローカル大会やフェスティバルも主催し、地域のサッカーを盛り上げる活動も行っている。
夏休みには、OBの大学生たちが帰ってきて指導を手伝ったり、一緒にゲームをしたりすることもあるという。地域とのつながりを大事にし、子どもたちの成長を支えるKSS。選手たちは、サッカーを通じて新たな課題に挑戦し、楽しさと成長の喜びを感じながら、日々の練習に励んでいる。
信大附属松本中/ 日比野 耕成 さん(15)
3年生の先輩たちに憧れて参加しました。練習でできていても、試合でできるかはわからないので、試合形式の練習はすごく勉強になります。参加していると経験量が全く違います。
山辺中/ 金宇 修平 さん(15)
先生に誘われて参加しました。部活の練習だけでなく、もっと上手くなりたい気持ちがありました。KSSはいろいろな学校から真剣にサッカーに取り組む仲間が集まっていて、切磋琢磨できるのはいい経験になります。
旭町中/ 四方 侑吏 さん(15)
サッカーが上手な兄を追いかけてKSSに入りました。練習時間が増えることで、試合中きつくなっても相手より走れる自分に気づきました。KSSがあるおかげで自分の課題を見つけ、成長することができます。
胡桃澤 庄治 代表
高校になれば体格によってポジションも決まるが、中学生のうちは自由にのびのびとプレーしてもらいたい。高校に行って活躍する選手になったり、生涯スポーツとしてサッカーを続けたりするきっかけになればうれしいです。
取材・撮影/くりはら ともこ