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【HRD BASKETBALL CLUB】  一回一回の練習が真剣勝負    長野県イチの練習から県勢未踏の領域へ

2022年に発足したHRD BASKETBALL CLUBが11月、第1回長野県U15バスケットボールクラブ選手権で県1位に輝いた。週2〜3回の限られた練習時間を最大限に活用し、県内最高記録の更新を目指す若きバスケットボーラーたちの挑戦が始まっている。

 「練習は月に10回程度。その一回一回を無駄にせず、長野県一、いや日本一の練習にしたい」。そう語るのは、チームを率いる原田将史コーチだ。2002年から長野県国体成年男子の選手として活躍し、2015年には同チームの監督に就任。2018年の福井国体では全国3位の実績を持つ。

 練習は時間を区切り、テンポよく進められる。厳しいメニューに選手たちは息を切らすが、表情からは充実感があふれる。コーチの声かけは常に前向きだ。
 「ミスを責めてしまうと選手は委縮し、コーチの顔色をうかがうようになる。選手には自分と仲間を信じ、伸び伸びとプレーしてほしい」。その願いは、確実にチームに浸透しており、山本珠生主将は「練習はいつもハードで疲れるけれど、チームメイト同士の声かけや雰囲気の良さに助けられている。バスケットボールも好きだけど、このチームだから楽しいというのもある」と声を弾ませる。

 2022年の発足当時、チームは中学1年生だけで構成されていた。「大会に出ても、大人と子どもが試合をしているようだった」と原田コーチは振り返る。目標とする上級生がいない中でもコーチの人脈を頼りに練習試合を重ね、力をつけていった。
 今年9月。第6回県U15バスケットボール選手権で準決勝まで勝ち上がったが、惜しくも敗退。「とても悔しかったけど、みんなで気持ちを切り替えて、次の大会に全力を注ごうとチームの結束力が強まった」と山本主将は振り返る。その団結力が、11月の県クラブ選手権制覇につながった。


 12月には2つの重要な大会を控える。第2回U15北信越ブロックリーグと、第13回U15 CLUB BASKET BALL GAMESだ。「北信越大会は2位以上、愛知での全国大会はベスト8以上」。山本主将と副主将の佐藤一心が掲げる目標は、どちらも長野県勢として過去最高記録となる成績だ。
 限られた練習時間の中で、“長野県イチ”の練習を目指すチーム。その真摯な姿勢で、新たな歴史を刻もうとしている。


【主将 山本 珠生 さん】
U15バスケットボールクラブ選手権大会は自分たちにとってのラストチャンス。そこで優勝できたことは本当に嬉しかったです。12月の2大会でも全力を尽くし、高校でもバスケを続けたいと思っています。


【副主将 佐藤 一心 さん】
11月の大会で優勝できた勝因は、最後のルーズボールのところまで気持ちを切らすことなく試合に臨めたことだと思います。高校生になってもバスケットボールを続け、インターハイに出場することが目標です。

取材・撮影/児玉さつき