地域スポーツ

【FD長地フットボールクラブ】           県リーグで躍動する力

1993年に発足したFD長地フットボールクラブ。30年余の間、地元の高校などに多くのサッカー選手を輩出してきた歴史を持つ。昨年度、5年生チームが偉業を達成。諏訪リーグで優勝し、さらにクライマックスシリーズ(参入戦)で2位となり、念願の県リーグ出場権を獲得した。

 「昨年の結団式の時に、子どもたちが自分たちで県リーグにいきたいと目標を立てて1年間やってきて、それを自分たちでつかんだ」と後藤亮監督は誇らしげに語る。 後藤監督がチームに携わったのは8年前。上の子どもが所属していた時に「大人の手が足りないなら少し手伝おうかな」という気持ちから始まった。高校まで野球に打ち込み、肩の故障で野球を断念した後、ちょうどJリーグ発足の年にサッカーを始め、32年間続けてきた。FCアビエスでは県リーグ、北信越リーグでもプレーした経験を持つ。
 指導で大切にしているのは、子どもたちの自主性。「子どもは子どもなりにできることを一生懸命やっている」との考えから、押し付けるのではなく、自分たちで考える力を育むことを重視する。


 「自分から発信、自己主張が大事。それができる子もいれば不得意な子もいて、それがちょっとのってくると不得意な子も声を出し始めるので、チーム全体の雰囲気が良くなる」と分析する。良い雰囲気の時は強いが、委縮してしまうとチーム全体が沈んでしまう傾向があるのが課題だという。
 少子化の影響で岡谷市内のチーム数が減少する中、現在は長地小をメインに、川岸地区や辰野町からも選手が集まっている。「やりたいという子はどこからでも全然大丈夫」と、門戸を広く開いている。
 現在のメンバーは6年生12人、5年生13人、4年生10人、3年生以下約10人で構成。水曜日の夜間練習は自由参加とし、基本は土日の活動で「家族の時間」も大切にしている。

 キャプテンの花岡律希(6年生)は小学1年生からサッカーを始めた。松本山雅FCの山本龍平に憧れ、ミッドフィールダーとしてチームを支える。「キャプテンになる前は声を出すことができなかったから、もっと声を出してチームを盛り上げようと思った」と自ら立候補でキャプテンになった。
 将来の夢は日本代表に選ばれ、大好きなリバプールのホーム・アンフィールドでプレーすること。「ボランチに特化してやっていきたい」と具体的な目標も持っている。
 後藤監督は「サッカーは楽しんで欲しいけれど、中身のことを知ってほしい。勝敗に対していかに最大限できる選手になるか。人のため、自分のため。そこをさぼらない選手になってほしい」と願いを込める。

【監督 後藤亮 さん】
今の子たちが恵まれていることを感謝してほしい。親御さんの送り迎えもそうだし、サッカーができることは当たり前ではないということは言っています。何か打ち込める夢中になれることを見つけて、生きる糧にしてほしい。そのきっかけの立ち位置にいると思っているので、橋渡しができればと思います。

【キャプテン 花岡律希 くん】
緊張感がある試合の時が一番楽しいです。キャプテンになってから、チームのために声を出そうと思っています。負けている時とか、いつでも声は出すように、盛り上げるようにしています。中学でもサッカーを続けて、日本代表に選ばれてアンフィールドでプレーすることが夢です。

取材・撮影/児玉さつき