今後ますますの発展が期待される長野県高校サッカー。その一端を担う夏のフェスティバルが今年も開催され、新たな節目を迎えようとしている。
県内外の実力校などを招くCLIMAX杯松本サマーサッカーフェスティバル。例年8月の4日間を通して中信地方で開催され、第24回となる今年は8月10日〜13日に松本市サッカー場や、かりがねサッカー場などの6会場で試合が行われた。県内からは全国総体出場校の都市大塩尻をはじめ、中信総体8強から5校が参加。磐田東(静岡)、帝京(東京)、山梨学院など県外勢も含め19チームが競い、都市大塩尻が2連覇を飾った。
「サッカー後進県」という印象が根強い長野県で、県外実力校を招いてのレベルアップと、サッカーを通じた交流の活性化を図るのが本大会の狙い。交流戦が主体だった初回開催から34回目、レベルに応じたカップ戦を設けるようになって24回目となる。初回からの参加校である静岡学園をはじめ、県内外から例年30校程度を集める夏場の大会として現在は定着した。
数あるサッカーフェスティバルの一つとして常連校に浸透しているが、「さらなる強豪やトップチームを呼び込めるよう工夫が必要」と、都市大の高橋裕之監督は現状の課題を口にする。というのも、初期とは事情が異なるからだ。初回から実行委員の中心メンバーだった高橋監督は「(開催初期に)来てくれたのはBチームばかりで、それでも歯が立たなかった」。とはいえ、静岡学園や中京大中京といった強豪との対戦に、選手たちは貪欲な姿勢を見せていたという。
近年は県外へ進学した卒業生らが他県との縁を持つことで誘致しやすくなった半面、強豪校にとっては「2ndチームの実戦機会」といった印象が拭いきれないという。それが地元の選手たちにとっても奮起しきれない一因になっているのでは――という懸念も。「もっと工夫が必要なのでは、と大会内容を見直す声があがっている」と高橋監督は明かす。
「この地域では唯一、全国クラスの高校が来てくれる大会。そこでしっかりと勝てるチームになって、冬の選手権へ向かう最初の一歩としてほしい」と高橋監督。その機会に地元校が優勝を飾るようになったことは、「(松本近隣校の)実力はレベルアップしていると言える」とうなずく。「今後ますます強豪チームを呼び込めるようにするため、ここを一つの区切りとみて意見交換の場を設けていきたい」と将来を見据える。
取材/佐藤春香