「NO HOOP. NO LIFE. NO PLAN. VIBES ONLY.」チームフラッグに印字されたこの言葉が、松本市を拠点に活動する中学生U15 バスケットボールクラブチーム「BULLETS.」のすべてを物語っている。バスケがなければ生きていけない。計画なんていらない。必要なのは、ノリと熱量だけ──。

2021年、当時の部活動の最終戦を終えた数名の中学3年生が「もう一度バスケをしたい」と集まった。県大会に行けなかった悔しさを胸に、引退後の夏、自らチームを立ち上げたのが同クラブだ。「ノリで始めた」と語る深澤基コーチは、息子の参加をきっかけに指導を引き受けた。2021年は部活動地域移行前、中学生世代でのバスケクラブチームは当時の松本では珍しい存在だった。
チーム名の「BULLETS.(バレッツ.)」も、当時の選手たちが自ら名付けた「弾丸(bullet)」に由来し、語尾の「.」ドットも、チームの登録時に同名チームが存在したため「ドットつけたら通っちゃったから」との理由だ。「NO PLAN」の精神は、ここにも宿っている。
BULLETS.は松本・塩尻・安曇野や木曽地域など広域から毎年約20~30名集っている。現在は3年生3人、2年生14人、1年生7人(取材時)。体育館の空き時間を縫って週末を軸に週5回の練習を重ねる。指導に当たる4人のコーチは皆、保護者から手を上げて参加しているメンバー。最低限の礼儀、礼節は大切にし、あとは楽しくバスケに触れてもらうことをモットーとする。そんな中、深澤コーチが懸念するのは「なかなか声が出ない」こと。最近の子は声を出すのが苦手と語る。「バスケは0コンマ何秒で判断しなきゃいけないスポーツ。見えない位置の仲間を声で補う必要があるから、積極的に声を出してほしい」と話す。


卒団生の多くが高校でも競技を継続し活躍中。県内外の高校との交流も積極的で、東海大諏訪や松商、松本4校などとも合同練習を行い、高校生との「わずか数年」でもここまで大きな差があると中学生に刺激を与えている。現在の目標は11月のクラブ選手権。最後の公式戦となる3年生の集大成と、新チームの育成が並行して進む。バスケが好きだという気持ちを真ん中に置き続けること。子どもたちが「楽しい」と思える瞬間を積み重ねていくこと。それが、BULLETS.の「VIBES」であり原動力だ。


【コーチ 深澤基 さん】
礼儀を大切に、あとは全力で遊ぶようにバスケをしてほしい。バスケを好きになってくれれば、それが一番です。勝ち負けももちろんあるけど、まずは“楽しい”って思えることが大事。その気持ちが続けば、高校でも、もっと先でも、きっとバスケを続けてくれると思います。声を出すのが苦手な子もいますが、バスケは見えないところを声で補い合うので、少しずつでも変えていけたら。

【キャプテン 中沢琉颯 さん(写真中央)】
ポジションはガードで、スピードには自信があります。シュートを決めた瞬間が一番楽しいです。キャプテンとしては、声を出してチームを盛り上げていますが、静かなメンバーも多くまとめるのが難しい時もあります。目標は、毎日の練習に集中して大会で勝つこと。高校でもバスケを続けたいです。
【副キャプテン 宮原律月 さん(写真左)】
フォワードやセンターを担当しています。バスケは小4の時、学校の近くで楽しそうにプレーしているのを見て始めました。試合で勝った時が一番楽しいです。最近は、チームが静かな時に自分から声を出して、みんなが声を出しやすい雰囲気を作るよう意識しています。将来的にもバスケを続けたいです。
【副キャプテン 鈴木兵悟 さん(写真右)】
もともとサッカーをしていましたが、父の勧めと「挑戦」の気持ちで転向しました。県大会を目指すレベルの高い環境にやりがいを感じます。ガードやSGを担当し、自分のリズムで相手をかわすプレーで、エース不在時には3ポイントを決めて活躍しています。副キャプテンとしてキャプテンを支えています。

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取材・撮影/生田和徳
