地域スポーツ

【 東海大諏訪高 男子バスケットボール部】体制変更から1年余  変わる雰囲気と変わらぬ姿勢

新指導者を迎えて一年、どんな化学変化が起きているのか。過去にインターハイ3位、ウインターカップ8強など数々の実績を挙げてきた東海大諏訪高男子バスケットボール部。2年目となる小滝道仁監督のもと、今季も日本一に向けた営みを続けている。県総体決勝は松本第一を96ー56で下し、17年連続33回目のインターハイ出場権をつかんだ。

 同校を全国的な強豪に育て上げ、18年間率いた入野貴幸監督が東海大のアシスタントコーチに就任したのに伴い、OBの小滝監督が立場を引き継いだ。昨年は手探りながらも県のトップは譲らず、インターハイ2回戦、ウインターカップベスト16の成績だった。

 「一年で諏訪のスタイルを理解したとは言い難いし、過去と比べられるのも仕方のないこと。信念を持ってやり続けて、結果で示すほかない」と小滝監督。これまで女子Wリーグ・富士通レッドウェーブなどで采配を振るってきたが、高校生男子の指導は初めて。「ギャップはもちろんある。自分自身での気付きも、周りが気付かせてくれるものもあって、今はそこを見比べている段階」と、選手たちとともに自らもチャレンジしている姿勢を示した。

 渡邊大翔主将は「先生のほうから積極的に『これはどうやるのか』と、練習のやり方についても選手とコミュニケーションを取ってくれる」と話し、そのフランクさに「皆が打ち解けていった」という。そうした雰囲気は部内全体に広がり、3年生の倉田大地は「今年は学年の垣根を越えて、特にコートの中では互いに遠慮しない雰囲気がある」と変化を挙げる。同じく3年生の大脇颯介は「皆で考えて答えを導き出したり、下級生が上級生に意見を言ったりする場面も出てきた。メンバー同士で話し合う機会が増えて、よりバスケがしやすくなった」とうなずいた。

 原則的に日本人選手のみでチームを構成し、泥くさく戦うことを伝統的に強みとしてきた。倉田は「守備に手を抜かないのは入野先生の頃と変わらない」とうなずき、「全員が足を動かしてチームで守るのがスタイル。誰でもできることに徹底的にこだわる」と力を込める。大脇はその粘り強さに魅せられて進学してきたといい、「シュートだけが見どころじゃない、守りの姿勢でも盛り上げるのが諏訪のバスケ」と強調した。

 「大人になる前の『未完成』のプレーヤーのポテンシャルを引き出すのが、このカテゴリで求められること」と小滝監督。「できなかったことをできるようにさせていくことで、『日本一』という結果にたどり着く」と目を細める。新たなる風のもと、目指す場所は変わらない。頂点をつかむため、試行錯誤の日々は続く。

取材・撮影/佐藤春香