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【須坂コルツ:チアリーディングチーム】             結成20年の節目に世界の舞台へ

須坂市を拠点に活動するチアリーディングチーム「須坂コルツ・スパーク」が、来年5月にアメリカ・フロリダで開かれる世界大会「The SUMMIT」に初出場する。2006年の結成からちょうど20年。地道に積み重ねてきた努力が、ついに世界への扉を開いた。

 須坂コルツには小学1年生から高校1年生までの41人が所属し、週2回の練習に励む。「大会クラス」と「基礎クラス」に分かれ、出場メンバー18人は上級クラスから選抜された。穂苅優花ヘッドコーチは、高校卒業後から約10年にわたって指導に携わる。「まずは〝楽しく、安全に”がいちばん。年齢やレベルに応じて、それぞれが〝できた”を楽しめる環境を作ることを大切にしている」と話す。

 チームの特徴は、何よりも明るく前向きな雰囲気だ。練習中には「できるよ」「ナイス!」と互いを励まし合う声が絶えない。チアリーディングは技の難易度だけでなく、笑顔やチームワークも評価される競技。穂苅コーチは「笑顔を大切にするスポーツ。続けるうちに自然と笑顔が増えていく。その力はきっと大人になってからも生きる」と語る。信州ブレイブウォリアーズのチアリーダー「ジャスパーズ」の経験者も指導に加わっており、演技の表現力や安全意識の指導にも磨きをかけている。


 世界大会を見据え、技術面ではスタンツ(組み技)やタンブリング(宙返り)などダイナミックな動きをそろえようと力を注ぐ。「全国では関東勢の技術が高い。そこに負けない完成度を目指して外部コーチも招いている」と穂苅さん。海外でも活躍するチアリーディング日本代表元ヘッドコーチ・笠原園花さんの指導を受け、技術だけでなく〝チアへの情熱”にも火をつけた。

 世界大会への出場権は、今年3月に開かれたUSAナショナルズ2025で勝ち取った。「優勝ではなかったが、長年の夢がかなった」と穂苅コーチ。これまで15年連続で全国大会に出場してきたものの、国際舞台への切符には届いていなかった。年齢制限などであと一歩届かなかった先輩たちの思いも背負う今回の挑戦。「ファイナル出場を目標に、全員で最高の演技をしたい」と意気込む。
 山下琉花キャプテンは「仲が良くて、思っていることを言い合えるのがチームの良さ」と話す。全国大会の前には通し練習を重ね、「本番はリラックスして自信を持って演技できた」と笑顔。伊藤真白さんは「チーム全員で協力して演技を作るところが魅力」と語り、大垣奈央さんは「下の子の面倒を見ることで、自分もリーダーとして成長できた」と胸を張る。

 笑顔と声を重ね、仲間と息を合わせ、誰一人欠けても成り立たないひのき舞台をつくる。須坂の小さな体育館から、世界の大舞台へ――。節目の年に、憧れの西海岸で最高の笑顔を見せるつもりだ。

【ヘッドコーチ 穂苅優花 さん】

Profile 須坂コルツ
チアリーディングチーム
須坂市を拠点に活動するチアリーディングチーム。2006年に結成され、15年連続で全国大会に出場。現在は小学1年生から高校1年生までの41人が在籍し、「笑顔・元気・思いやり」をモットーに週2回練習を重ねている。大会クラスと基礎クラスを設け、チームワークと表現力を育む指導が特色。2026年5月、創設20年目で初の世界大会「SUMMIT」に出場する。

取材/大枝令