障がいのあるスイマーが挑戦する「サンスポート駒ヶ根水泳記録会」が7月7日、駒ヶ根市の県看護大学屋内温水プールで開かれた。県内各地から約50人の選手が出場し、それぞれの目標に向かって力泳。第20回記念となったこの日は梅雨の晴れ間に恵まれ、陽射しの差し込むプールサイドには笑顔がきらめいた。
県障がい者福祉センター「サンアップル」の南信サテライト施設「サンスポート駒ヶ根」が主催。県看護大学屋内プール棟に事務所を置き、「プールというツールを生かして障がい者への環境づくりを」と水泳教室や運動支援などを展開しながら、大会出場の前段階という位置づけで毎年開催している。「参加することが一つの目標になれば」と話す主任指導員の吉田博明さんは、「ここからステップアップして大会出場を目指していってほしい」とうなずいた。
今回は25m完泳を目指す人々が出場する種目「サン駒チャレンジ!」への挑戦者が増加。アームリングやビート板などの浮具を使う子どもたちも出場し、本格的な競泳を経験した。13人の小さな選手たちは声援を受けながら懸命に泳ぎ切って指導員とハイタッチを交わし、記録賞をじっと見つめてうれしそうに目を細めた。
「頑張ってきた成果を保護者の皆さんに見てもらいたい」とほほえむ吉田主任。「子どもの姿に目を潤ませている方々もいる。発表の場としての活用も続けていきたい」と力を込める。7歳の平本圭祐くんもチャレンジャーの一人で、今回が初参加。昨年から水泳教室に通い始め、「水遊びが目的だったが、本格的に習い始めたので出場を決めた」と母。25mを見事に泳ぎ切ってみせ、「がんばった」と白い歯を見せた。
各種目でそれぞれが自己ベストを目指す中、最終種目の「ピッタリレー」は速く泳げない選手にもチャンスをもたらす。あらかじめ申告したタイムに近づけることを競う4人制リレーで、優勝した「いきいき水泳」チームは申告タイムとの差わずか1秒24と大奮闘。メンバーの女性4人は「ずっと優勝を狙っていた」「練習からタイムを調整していた」と力を込めつつ、「本当に優勝できてうれしい」と手を取り合った。
記録会には県パラ水泳協会所属選手や全国大会を目指す前川直輝らも参加し、圧巻の泳ぎを披露。会場内の緊張感が高まり熱のこもった声援が飛ぶなど、大会のような盛り上がりを見せた。
取材・撮影/佐藤春香