地域スポーツ

【桔梗ケ原グレープス】     青空の下で絆を育む

「お願いします!」。選手たちの掛け声が青空いっぱいに響き渡る。塩尻市の宗賀小の子どもたちを中心に活動する野球チーム・桔梗ケ原グレープス。後藤裕一監督が小学生の頃には既に活動していたそうで、30年以上の歴史を持つ。
 現在のメンバーは1年生から6年生まで11人。「基礎が身につけば、子どもたちは自然と『もっと上達したい』と思うようになる」との考えから、土日の練習では、打つ、捕る、投げるといった基礎力の育成を優先している。


 日ごろの練習の成果を発揮する場として、練習試合や塩尻市内で行われる各種大会にも出場するが、「低学年も試合に出るので、1アウトを取るのも大変な時がある」と後藤監督。しかし、「勝ち負けよりも仲間の大切さや野球の楽しさを伝えること」を重視する指揮官は、「チームが一丸となって1アウトを取ることでチームワークの大切さを実感し、喜びを共有できる」と前向きだ。
 その根底には後藤監督自身の経験がある。小学1年生から野球を始め、中学、高校、社会人でも仲間とチームを作り、野球を続けてきた。「学校のクラスメイトとのつながりは薄いけれど、野球を一緒にしたチームメイトとは今でもつながりがある」と絆の強さを口にする。
 同じように子どもたちが仲間の大切さを実感するためには、まずは野球を続けてもらうことが必要だと考える後藤監督。「そのためにも学童期は野球を楽しいと感じられる経験を積み、続けたいという意欲を養いたい」と指導方針を掲げる。
 「1人の失敗もみんなで励まし合い、1人の成功の喜びをみんなで分かち合う。チームメイトと助け合うことの大切さは将来社会人になってからも必ず役に立つ」と続ける。指導では挨拶や礼儀など人間形成の部分も重んじる。


 内川太智主将は「代々の監督が礼儀の大切さを伝えてくださったので、挨拶もできるようになりました」と成長を実感している。
 保育園から野球を始めて6年生になった古平美紗は「仲間の様子に気を配れるようになった。野球を続けてきたことで、チームで何かを達成することの楽しさを実感することができた」と話す。内川主将も「チームの様子を見ながら、試合で劣勢の時などはチームを盛り上げるために自分から声を出すように心掛けている」とチームメイトを気遣う。
 野球の楽しさと仲間の大切さを伝える桔梗ケ原グレープス。「今シーズンの目標は10勝すること!」と意気込む内川主将。練習で培った基礎力と、チームの固い結束力で目標達成を目指す。

【主将 内川太智 くん】
2023年のWBCを見て野球を始めようと思いました。楽しいと感じるのは、試合で打てたときや、できなかったことができるようになったときです。憧れの選手は阪神タイガースの森下翔太選手。中学生になっても野球を続けて、プロ野球選手になることが目標です。

【監督 後藤裕一 さん】
自分が60歳、70歳になった時に、卒団後も野球を続けてきた子どもたちと同じグラウンドで再会し、「監督さん、まだ野球やってるんだね」と声を掛けてもらうことが理想です。そのためにも野球を楽しい、続けたいと思えるような指導を心掛けています。

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取材・撮影/児玉さつき