「ゴルフの好きなところはインパクトの瞬間の感触と、ゴルフ場の雰囲気」――。鉢盛中学校2年生の根橋久真は、そう微笑みながら語る。
初めてゴルフクラブを握ったのは父の影響を受けて7歳の頃。小学2年生で経験した初ラウンド後の練習場で山田清志コーチのレッスンを知り、以来同コーチの指導を受けてきた。「その時から『ゴルフは楽しい』と思う気持ちは変わらない」と当時を振り返る。
グリーンゴルフ石芝でレッスンを担当する山田コーチは「インパクトで力を集結させるために必要なのはバネ。久真は特にそのジャンプ力に優れている」と強みを分析する。「性格的にも、ミスを振り返りはするが、良い意味で引きずらない。気持ちの切り替えができる点がゴルフに向いている」と評価する。
根橋自身も「大会やコースでプレーをすると、アップダウンや芝の深さ、バンカーショットなど練習場では体験できないことが多くある。上手くいかないこともたくさんあるが、その都度振り返り、自分で考えて次へ生かすように心掛けている」と話す。
それは学校生活にも良い影響を与えているという。「ゴルフを続けてきたことで集中力が付いた。学校の授業にも集中して臨めている」と成長を実感している。
中学2年生となった現在、週1回のゴルフレッスンとバレーボール部の活動を並行して行う多忙な日々。バレーを選んだ理由は「アップダウンのあるコースでも安定したアプローチができるように、体幹を鍛えられるスポーツがしたいと思った」と話す。
「バスケットかバレーで悩んだが、バレーを選んだ。今は体幹だけでなく、ジャンプ力も鍛えられている。全部員の中でもジャンプ力はかなりある方だと思う」と胸を張る。
フィジカルの鍛錬は日常生活でも意識している。登下校時には片道7km以上、アップダウンの激しい通学路を自転車で往復する。「下半身の鍛錬にもつながっている」と前向きに捉える姿勢が印象的だ。
現在は5月6日開催予定の第27回長野県ジュニア選手権に向けてレッスンにも力が入る。中学生として初出場した昨年の同選手権では、目標の70台に及ばず涙をのんだ。「今年はさらにレベルが上がる予感がある。70台前半のスコアを出して上位に食い込み、関東大会に出場したい」と意気込む。
「ここはあくまで通過点。将来の夢や目標は、自分で切り開き、つかみ取っていってほしい」と願う山田コーチ。根橋自身は「中学卒業後もゴルフを続けたい」と希望し、将来の目標は「プロゴルファーになること」と力強く答える。
ただ、長野県内の高校でゴルフを続けることには困難が伴う。そんな状況でも「県外への進学も視野に入れて検討している。ゴルフの練習だけでなく、高校進学に向けて勉強も頑張っている」と目を輝かせる。困難も前向きにとらえ、心身を鍛えながら未来を切り拓く。
Profile 根橋久真(ねばし・きゅうま)
ゴルフ
2011年7月4日生まれ。山形村出身。鉢盛中学校在学中。父親に勧められ、小学2年生から山田清志コーチの指導の下でゴルフレッスンをスタート。長野県ジュニアゴルフ選手権ほか、各種大会に出場。中学卒業後もゴルフを続け、プロゴルファーを将来の目標に据え、ゴルフのスキル向上を目指し日々の努力に励んでいる。
取材/児玉さつき