高校スポーツ

【松本美須々ケ丘高等学校 ダンス部】              自主自立の精神で 生徒の思いが輝く

白のユニフォームに身を包み、2月のイベントに向けて練習に励む松本美須々ケ丘高校ダンス部。「自分たちが伝えたいことをダンスで表現したい」という思いから、あえてコーチを置かず、生徒主体の活動を続けている。その独自の方針も実を結び、県高校ダンスフェスティバルでは2017〜20年に4年連続で最優秀賞を受賞。昨年も審査員特別賞に輝き、入賞14年連続という輝かしい実績を誇る。

 20年以上の歴史を持ち、現在の部員は2年生20人と1年生10人。部員の生活面を支える部長と、技術指導を担う2人のキャプテンを中心に活動している。入部時は約9割が未経験者だが、練習を重ねるうちにその差は縮まっていくという。
 そんな先輩たちのダンスに魅了され、入部を決めた生徒も多い。「(松本)美須々ケ丘でダンスがしたい」。キャプテンの一人・翠尾結奈はそれが高校選択の決め手になったという。しかし、その道のりは決して平坦ではない。
 振付けとポジション決めも部員たちが行う。もう一人のキャプテン・髙橋悠夏は「まず自分が踊れなければ教えることができない。振付けが難しすぎても部員がそのレベルになければ表現できない」と、基礎練習から段階的に難度を上げていく工夫を重ねる。翠尾も「自分の中で『指導するにはまず自分ができるようになってからだ』という言葉を大切にしている」と真摯に取り組む。

 大倉涼羽部長は、全員と公平な距離感を保つことを心がけるという。「部長とキャプテンは近い立場にあるので、『仲が良いから良いポジションがもらえた』といった誤解を生まないように気を配っている」と明かす。

 こうした活動を見守る顧問の中島瑞恵教諭は「コーチが決めれば簡単かもしれないが、部員たちが選ぶからこそ、思い通りにならない悔しさも感じる。それをどう乗り越えようかと考えながら前に進んでいると思う」と、生徒たちの成長を見守る。
 試行錯誤を繰り返しながらも、部員が主体となって取り組むからこそ得られる大きな達成感。7月の文化祭を最後の舞台とし、「悔いの無いように、全員が納得できる最高のステージを作りたい」「自分が作った作品で誰かを楽しませたい」と、さらなる高みを目指している。


【部長 大倉涼羽 さん】
10月のダンスフェスティバルでは、1年生と大きな舞台で踊れたことで今まで以上の一体感を実感できたのと同時に、2年生の自分にとっては最後の大会だったこともあり、大きな達成感を得ることができました。


【キャプテン 翠尾結奈 さん】
ダンスをする上で大切にしているのは「楽しく踊る」こと。自分のダンスで誰かに楽しんでもらうためにも、まずは自分たちが楽しめるように、普段の練習でも良い雰囲気づくりを心掛けて取り組んでいきたいです。


【キャプテン 髙橋悠夏 さん】
ダンス部に入るために、(松本)美須々ヶ丘高校への進学を決めました。ダンスのおかげで生活面でも自分を表現できるようになったと感じています。キャプテンとしては、できるだけ丁寧に分かりやすい指導を心掛けています。

取材・撮影/児玉さつき