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【松本山雅FC】予想外の苦しいスタート 挽回へチーム一丸

 サッカーJ2松本山雅FCが、予想外の苦しい滑り出しを余儀なくされている。開幕から5試合を消化し、わずか1ゴールの未勝利で21位となっている。18人の新加入選手を迎えて装い新たに迎えたシーズン。ピッチ内でのパフォーマンスは決して悪くない試合もあるものの、勝ち点3という結果は近いようで遠い。狙っていたスタートダッシュはならなかったが、今後のV字回復に期待がかかる。
 開幕からの2試合はともにスコアレスドロー。ただ京都サンガF.C.との第2節は、曺貴裁監督率いる上位候補のホームに乗り込んで気迫を全面に押し出したファイトを展開した。勝利こそならなかったが、今後への明るい兆しが見えた一戦。実際、試合後の柴田峡監督も「立ち上がりから前半終了の時点で、ある程度うちの選手もやれるという感覚がつかめたので良かった」と一定の手応えを口にしていた。
 モンテディオ山形を迎えたホーム開幕戦は1−1となった。序盤から素早く主導権を握り、41分に新戦力のMF河合秀人が先制弾。自陣でボールを奪ってから丁寧にパスを繋いで敵陣を攻略し、DF外山凌―MF前貴之のコンビでペナルティーエリアに侵入してのクロスから仕上げた。「タカ(前貴之)がいいボールをくれたのであとは合わせるだけだった」と河合。足元とスペースを使いながらゴールを陥れた一連の攻撃は、かつての山雅からは想像しがたいほど流麗だった。
 しかし後半に流れを持っていかれて同点とされると、続くホーム千葉戦は0−1でシーズン初黒星。互いに未勝利同士の一戦でホームだったにもかかわらず、球際のバトルで後手を踏んだ。自陣での処理ミスからピンチを迎えて先制を許すと、以降は守備意識を徹底した千葉の牙城を崩せずタイムアップ。圧倒的にボールを保持しながらもゴールを奪えず、FW鈴木国友は「シュート精度や個人の力量は上げていかないといけないし、コンビネーションや意識の共有ももっとしていかないと」と危機感を口にした。
 この時点ですでに3分1敗で下位のスタート。続く水戸戦は、何がなんでも白星をつかむ必要があった。水戸の弱点を踏まえて従来から陣形を変え、気迫もみなぎらせて臨んだ一戦。戦術もスキルもメンタルもがっちりとかみ合って水戸を押し込んだものの、どうしても欲しいゴールだけが奪えない。そして後半に不運な形でPKを与えて失点すると、気落ちしたのが目に見えてパフォーマンスが低下。陣形変更も実らず逆に追加点を次々と奪われ、終わってみれば0−3と完敗を喫した。
 センターバック篠原弘次郎は「1つ取れれば2、3点取れた試合の内容だし、圧倒できた試合。だけどこれがサッカーの甘くないところ」と唇をかむ。トレーニングから選手たちはポジティブに取り組んでいるものの、結果は出ていないのが現実だ。悪くはないのに結果がついてこない。ならば現状打破には、それ以上のエネルギーを注ぎ込むのみだ。「少し緩いところもトレーニングにあるので、そういう部分でチームを変えていけたら」と篠原。松本山雅は、下位に沈んでいて許されるチームではない。

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取材/大枝令 
©️松本山雅FC