松本大学には「ゆめ」がある――。
一見するとドラマチックなコピーのようだが、これは学生たちが地域との交流を行う地域連携活動支援プロジェクト“地域づくり考房『ゆめ』”の話題。『ゆめ』は、夢(みんなの想い)、結芽(ニーズの芽を結ぶ場所)、遊眼(遊び心の視点を持つ眼)と3つの意味を持つ。
みんなの想いを多くの学生が共有し、その考えを結んで分かち合える場所として、2005年からスタートした。現在は大学・短大合わせて1~4年まで約400人の学生が在籍し、12のプロジェクトに分かれて自主的に地域支援活動に取り組みながら地域の人々から多くのことを学んでいる。
そのプロジェクトの一つが、大学にほど近い新村児童センター(松本市新村)で行われる「キッズホッケー」だ。毎月1~2回、同センターを利用する小学生を対象に15分程度、学生たちがキッズホッケーを教えてともに楽しんでいる。大学側は4年生のプロジェクトリーダーを中心に「子どもたちと関わりたい」「自分も身体を動かしたい」と想いを持ったメンバーが集まり、実働10人ほどが交代で担当している。
キッズホッケーは文字通り子ども用のフロアホッケー。野球ボール大のプラスチック球を専用のスティックで操り、相手側のゴールにシュートする。仲間との攻防の連携や瞬時の判断が求められるため、「キッズ」といっても本格的だ。小学生は学年によって体格が異なるため、基本的には学年ごとに練習や試合を行う。学生たちはその中で、「挨拶」「道具を正しく使う」「友だちを傷つけない」などを大切にし、子どもたちが楽しみながら学ぶ機会を提供している。
リーダーで健康運動指導士の資格を持つ小澤菜々子さん(スポーツ健康学科4年/撮影時)は「活動に参加したばかりの頃は子どもたちの名前が覚えられず、コミュニケーションに苦労しました。それでも活動を続けると徐々に慣れ、今は子どもたちに目線を合わせてアドバイスすることも心掛けています。助言しても最初はわかってもらえないこともありましたが、根気よく話しかけるとちゃんと理解してくれます。とても活動が楽しいです」と、活動の醍醐味を語ってくれた。
このほか『ゆめ』の学生プロジェクトとしてキッズスポーツスクール、こどもあそび隊、サンタ・プロジェクトなど多彩な活動を展開。それ以外にも地域との交流を軸としたプログラム「ONE TEAMプロジェクト」も含め、多角的なアプローチで地域貢献できる人材育成に力を注ぐ。
こうした取り組みの先に、明るい地域の未来と学生の将来を描く。やはり、松本大学には「夢」がある。
【小澤菜々子さん】
取材・撮影/生田和徳