5月21日、令和5年度春季リーグ戦の全日程が終了。松本大学は6勝3敗、松本大学硬式野球部創部以来最高順位である3位で春を終えた。
「勝った中でも内容的に『もっとできた』という試合もあれば、負けた中にも『勝てたのに』と思う試合もある。反省点を見つけようと思えば山ほどある」。本年度の主将を務める小林尚真(観光ホスピタリティ学科4年/上田西高等学校出身)は表情を引き締めつつ、「とはいえ、内容がよくない試合でも勝ち切れている、という点は評価できる」と前向きな姿勢を示した。
春季リーグの前哨戦となったのは、3月に開催された「第2回長野県知事杯争奪プロ・アマドリームトーナメント」。松本大学は信濃グランセローズとともに同率優勝。決勝戦は降雨によるコールドゲームとなり3-3の引き分けに終わったが、準決勝戦では信越硬式野球クラブを2-0で下した。
格上相手に勝ち取った白星は、チームに良い風を吹かせた。「準決勝戦は特に『良い試合をして勝てた』という手応えがあった。決勝戦も、途中で止まってしまったとはいえ競ったゲームができた」と小林主将は自信をのぞかせる。プロ相手にも試合運びに手応えを感じたことで、「良い形でシーズン開幕を迎えられた。この経験のおかげで、自分達の野球ができている」と、選手たちは確かな地盤を手に入れた。
就任6年目となる指揮官・清野友二監督も、「自分達で能動的に考えて試合を組み立てるようになった」と、プレーの質の向上を感じている。「例えばアウト1つとっても、内容のあるプレーでアウトになったのか、ただやられただけなのか、など考えるようになった。優勝したからというより、プロ相手にも『しっかりやっていれば通用する』という自信をつけたことが大きい」とうなずく。
とはいえ、まだまだ課題は残している。印象的だったのはリーグ8戦目、5月14日に行われた常磐大学との一戦だ。6回までは1失点も許さず封じ込め、5回裏には峯村万斗(スポーツ健康学科4年/小諸高等学校出身)のホームラン(通算35本目)も飛び出すなど快調な試合運び。しかし投手を含め、先発メンバーを総入れ替えして迎えた7回表には立て続けに出塁を許し、2失点を喫した。最終的なスコアは8-3で勝利しつつも、「選手交代で流れが変わってしまった。改善点は技術ではなく、準備や気持ちの問題」と小林主将。「誰が出ても同じクオリティで試合ができるように」と、さらなるチーム力を追求していく。
「バッテリーを中心とした守りの野球」を掲げ、邁進してきた成果がいま実を結びつつある。「(選手の)成長は良いものがある。あとは点を取るだけ」と清野監督。今年はバッティングにことさら力を入れ、得点力も追及。秋のシーズンは第19回横浜市長杯への進出を目指し、さらなる躍進の年としたい。
取材・撮影/佐藤春香