11月10日、長野市ホワイトリングで第77回全日本バレーボール高校選手権大会県大会(春高バレー)が行われた。男子決勝は、岡谷工業高校と対戦。第1セットを先取し、第2、第3セットを連続で落としたが、接戦へともつれ込んだ第4セットを25ー22で奪取。その後の第5セットも競り勝ち、2年ぶり、12回目の優勝を飾った。キャプテンの小林智哉は「岡工が2セットを連取し、相手にいけるという雰囲気があった。しかし、その空気に飲まれることなく前を向き、冷静にプレーしたことが勝利につながった」と分析する。
インターハイでは2度の全国制覇を成し遂げ、春高バレーでも準優勝の実績を持つ松本国際男子バレー部。指揮官は、岡谷工業時代に春高バレーで2度の全国制覇を経験した壬生裕之監督。強豪校に身を置いてきたからこそ、勝ちへのプレッシャーの大きさも熟知する。そのプレッシャーに打ち勝つため、「ゲーム形式の練習では、実際の試合を想定し、ゲームでミスをしたら負けてしまうという怖さを疑似体験できる緊張感を創出している」と明かす。監督に怒られないことを優先し、プレーが消極的になってしまわないよう、4日間の平日練習では選手のみの日と監督同席の日とを分け、選手だけの練習にはミスを防ぐための作戦を練り、克服に向けた練習まで行うという。それは、直近の試合に勝つという側面だけではなく「大学や実業団では、コートに入るのに見合わないと判断されれば、ただ交代させられてしまうだけ。甘えていて通用する世界ではない。だからこそ高校年代でPDCA(Plan、Do、Check、Action)のサイクルを身につけ、自己を自ら管理できる人間に成長してほしい」と壬生監督は強調する。小林キャプテンも、「ミスができない大事な場面を想定した練習は、監督からのプレッシャーを感じる。もちろん怒られないようにという側面もあるが、それよりも自分たちで苦手をいかに克服し、改善するかということの方を重視している」と話す。
今年8月に長野県代表として出場した令和6年度全国高等学校総合体育大会 北部九州総体。勝利を積み重ねて迎えた準々決勝で京都洛南高校に敗れ、ベスト8に終わった。春高バレーは2025年1月5日に開幕。「高校の3年間で力を蓄え、全国の舞台に勝ち上がってきたチーム。どこも力は拮抗している」と指揮官。さらに3回戦ではインターハイを制した駿台学園との対戦が控えている。「駿台学園との大一番を突破し、全国優勝を成し遂げたい」と意気込む小林キャプテン。3年生にとっては、チームメイトと掴んだ高校生活最後のチャンス。日ごろの努力で培った技術力と精神力を信じ、チーム一丸となって全国優勝を目指す。
【キャプテン 小林 智哉 さん】
中学1年生の時、インターハイで1位になった松本国際を見て、影響を受けた。バレーボールの楽しさは、仲間とともにボールをつなぐこと。高校卒業後は大学でもバレーボールを続け、将来は子どもたちの指導者になりたい。
【副キャプテン 山田 丈琉 さん】
松本国際でバレーボールをすることの楽しさは、ほかの高校と比較て、1本目のレシーブからスパイクまでのスピードやリズムの速さがあること。1月の春高バレーで全国優勝を達成し、将来はバレーボールを続けながら体育教師を目指したい。
取材・撮影/児玉さつき