小学生バレーボールチームの松本マーヴェラス鎌田。男女それぞれのチームを持っており、のびのびとした空気の中でバレーに打ち込んでいる。根底にあるのは、女子チーム監督でもある高山昭光監督の「学年差は関係なく言いたいことを言える、風通しのいい関係づくりを心がけている」という思い。選手たちに聞いても「みんな優しい」「自分の意見を言いやすい」と口々に話す。
従来は女子チームのみが活動していた。1984年に発足し、かつては県内敵なしの強さを誇って全国大会に出場した時期も。数年前からは男子チームも始動し、ともに松本市島立小体育館を拠点に練習を積んでいる。女子の山岸明日香主将は「先輩後輩に関係なく話ができることがチームの関係を良くすることにもつながっている」男子の神永滉毅主将も「いろいろなチームの体験に参加したけど、ここは選手もコーチもみんな優しかったので入団した」と振り返る。
そうした雰囲気が生まれる根源は、高山代表のスタンスにある。「自分の考えを押し付けたり型にはめたりするのではなく、子どもの個性をチームに生かしたい。『はい』と返事をすることは大事だと思うけれど、何でもかんでも『はい』ではないと思う。『はい』と素直に言えない時は、言えない理由がある。そういったことも含めて、自分の思ったことを言えるようになって卒団してほしい」と力を込める。
男子の伊藤雄介監督も「技術を教えることも必要だが、どちらかというと中、高、大と続けたいと思ってもらえるよう、バレーボールが楽しいという気持ちを持続できるような指導を心掛けている。自分もバレーボールを通じていろいろな人と出会い、人生が豊かになった。子どもたちにとってもバレーボールが同じような存在になってほしい」と広い視野で指導に当たる。
必ずしも結果だけにこだわるわけではないものの、やはり目の前の試合には勝ちたいものだ。全日本小学生大会は女子が松塩木曽ブロック大会を制して中信地区大会も準優勝。県大会に出場し、ベスト8で大会を終えた。男子は懸命にボールに食らいついたものの、中信地区大会の初戦で敗退。この大会では男子の松本ヴィガフェニックスが優勝して8月の全国大会に出場した。
3月の長野米カップでスタートしたシーズンも、10月のマルニシカップで一区切り。女子の山岸主将は「県大会でできるだけ上位に食い込み、優勝を目指したい」と話し、男子の神永主将も「ブロック大会と中南信大会を勝ち抜いて県大会に進みたい」と意気込みを話している。
女子 山岸 明日香 主将
ミスをしても立ち直れたり、チームが崩れかけた時に声を掛けられたりと、バレーボールを通じてメンタルが強くなったと感じています。キャプテンとしては、去年のキャプテンが性格も年齢も違うチームメイトを懸命にまとめようとする姿を見て、自分もそうなりたいと思い頑張りました。
男子 神永 滉毅 主将
レシーブが得意で、特に強いボールをレシーブできた時はスカッとして気持ちがいいです。キャプテンとしてチームをまとめるために強すぎない言葉づかいや、伝わる言葉選びが必要で最初は苦労しましたが、良い経験になりました。中学校でもバレーボールを続けたいと思っています。
取材・撮影/児玉さつき