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【松本ボーイズ】        負けた経験をパワーに      ジャイアンツカップで初戦突破!

全国1617チームの予選を勝ち上がった32チームで行われる、中学硬式野球最高峰の大会「全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップ」。今年8月20日、松本ボーイズは府中市民球場で東京神宮リトルシニアと対戦し、4ー3で勝利を収めた。9年前の初出場時には果たせなかった初戦突破。チームにとって大きな一歩となった。

 松本ボーイズは、県内各地から野球への情熱を持った選手が集まるチームだ。松野光之監督は「勧誘はしないが、このチームで野球をやりたいという子は誰でも歓迎する」と語る。その指導方針は明確だ。「大人が本気でなければ、子どもたちには響かない」。単なる野球の技術指導にとどまらず、選手たちが“カッコいい大人”に成長することを目指している。

 この方針に、田中仁吾主将は感銘を受けているという。「監督には将来につながる野球や生活面も指導してもらっている。『カッコいい男になれ!』という言葉を常に意識している」と、チームの理念を体現する。
 2024年、チームは大きく飛躍した。180チームが参加した5月の関東ボーイズリーグ大会でベスト4入り。地区予選を勝ち抜き、中部北信越地区代表としてジャイアンツカップの切符をつかんだ。

 しかし、この成功は順風満帆な道のりではなかった。昨年10月の秋季大会決勝では千曲ボーイズに敗れ、別の全国大会への出場権を逃している。「あの敗戦で奮起した」と田中主将。「夏は絶対にジャイアンツカップの出場権を取る」。その想いでチームは一丸となった。
 そしてジャイアンツカップでは念願の初戦を突破。続く2回戦で北摂リトルシニア(大阪)に0ー1と惜敗したものの、全国の強豪相手に互角の戦いを演じた。「自分たちは井の中の蛙ではない。全国でも通用する実力を身につけた」という大きな自信を得た。

 10月19日、新チームは秋季大会1回戦で長野ボーイズに1ー5で敗退。しかし、田中主将は後輩たちに「ここで野球が終わるわけではない。諦めずに毎日努力を続けてほしい」とエールを送る。松野監督も「負けることも経験の1つ。これを良い起爆剤にしてほしい」と前を向く。
 「野球は技術とメンタルの両方が大事。心の強い選手は本番でも活躍できる」。緊張からミスが目立った選手たちに、監督はそう語りかける。「選手たちを勝たせてあげたい。そのためにどうするべきかをこれからも伝えていく」。その言葉には、選手たちの未来を見据える確かな信念が込められていた。


【田中 仁吾 主将】
チームで作戦を立てるなど、一丸となってジャイアンツカップ出場を目指してきました。調子が悪い時には、仲間の声出しが励みになり、気持ちを強く持って試合に臨むことができました。高校でも野球を続け、甲子園出場を目指します。

取材・撮影/児玉さつき