地域スポーツ

【松本セントラルB.B.C】              1人の輝きをチームの力へ

白球を追う元気な声がグラウンドに響き渡る――。

 松本セントラルB.B.Cは、中信エリアの複数の中学校から選手が集まる軟式野球チームだ。現在は3年生18人、2年生5人とマネージャー1人、1年生5人の計29人で活動している。チームの最大の魅力は、誰もが主役になれる環境がある点だ。中学から野球を始めた初心者も公式戦に出場し、今やチームの4番打者を務める選手も、実は中学から野球を始めた1人。経験の有無に関わらず、日々の頑張りがきちんと評価される温かい風土が根付いている。
 チームを率いるのは、自身も小学2年生から大学まで野球一筋の人生を歩んできた湯澤圭監督。「野球でしか学べないことがある」と語る指揮官が、指導で何より大切にしているのは選手たちへの熱意と愛情にほかならない。数あるスポーツの中から野球を選んでくれた感謝を胸に、できるだけ一人ひとりに声をかけるよう心がけていると言う。全員がホームランを狙って「自分が自分が」となっては試合にならない。チームのために自分はどう貢献できるのか、自分の外に目を向けることの大切さを説き、「自分のプレーはチームのためにある」という原点に立ち返らせながら、次の高校野球へつながる丁寧な指導を徹底している。


 この教えをグラウンドで生き生きと体現しているのが、先輩の指名で大役を引き継いだ二人のリーダーだ。キャプテンの塩原一汰は、「野球の楽しさは、勝ったときの嬉しさや仲間とのコミュニケーション」と笑顔を見せる。野球を続けてきたことで、挨拶や大きな声が出せるようになり、キャッチャーというポジションを経験してきたおかげで私生活でも冷静な判断ができるようになったと自身の成長を実感している。キャプテンとしては、「やる時はやる」というメリハリを大切にしながら、みんなが楽しくプレーできるよう、まずは自分が率先して動くことを心がけている。副キャプテンの小林泰大も、チームへの熱い想いを胸に秘め、お互いに声をかけ合い、協力して勝利につなげることが野球の醍醐味だと語る。副キャプテンとして意識しているのは、自分のことだけでなく一歩引いて周りを見ることだ。さらに、道具の管理や挨拶など、当たり前のことを当たり前にできる人間力が磨かれたのは監督の指導のおかげ、と感謝の気持ちを忘れない。
 こうして結ばれた強い絆は、ついに大きな実を結んだ。令和8年度中信地区中学校体育大会で見事に4位入賞を果たし、先輩から代々受け継いできた念願の「県大会出場」の目標を全員の力で掴み取った。
 夏の強い日差しのなか挑んだ7月11日の大舞台は惜しくも敗退となったが、念願の切符を掴み、最後まで実直に戦い抜いた。恩師への感謝と自分たちの野球を胸に、目標に向け心を一つにして戦ったチームの絆は、これからも生き続ける。

【監督 湯澤圭さん】
野球は人のために尽くすことを体感できるスポーツです。自分が犠牲になるバントのように仲間のために動いた経験は、一生の友達という最高の財産となって、自分自身に返ってくると信じています。

【キャプテン 塩原一汰くん】
試合前に監督さんから『全力で楽しんで』と声をかけてもらったことが、とても大きな力になりました。このチームでしっかりと技術を磨き、高校でも野球を続けて、バッティングでも力を発揮できるように頑張ります。

【副キャプテン 小林泰大くん】
お互いに声をかけ合い、協力して勝利につなげることが野球の楽しさです。準優勝した中部日本地区選抜中信予選会で強豪チームに勝てた時は本当に嬉しく、みんなで協力する楽しさを改めて実感しました。

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取材・撮影/児玉さつき