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【松商学園高等学校 硬式野球部】               成し遂げた「連覇」        届かなかった「日本一」 

第108回全国高校野球選手権長野大会で2連覇を達成した松商学園は昨夏、二つの目標を掲げて新チームをスタートさせた。それは「連覇」と「日本一」。主力を担った3年生が抜けたことで足元を見つめ直すのではなく、敢えて目線を上げ、高い壁に挑む道を選んだ。

 県内の高校野球は各校の実力が拮抗し、夏の優勝校は毎年のように顔ぶれが違う。直近10年間の優勝校は、松商学園の他に長野日大、上田西、佐久長聖、飯山の5校。公立校の躍進も珍しくなく、2007、08年の松商学園を最後に連覇したチームはなかった。
 松宗勝監督は今春、18年前に連覇した当時の選手を招き、現役選手たちと意見交換する場を設けた。2年続けて夏の大会を勝ち抜くために大切なことは何か。その経験を先輩から後輩に伝えてもらい、連覇が懸かる長野大会の戦いを第6シードからスタートさせた。

 初戦の2回戦から3試合続けてコールド勝ちでベスト8に進出。長野日大との準々決勝は九回に3点差を追い付かれたが、延長十回タイブレークの末にサヨナラ勝ちで突破した。エースの黒岩柊斗を発熱で欠くアクシデントに見舞われた準決勝は佐久長聖に11ー6で打ち勝って決勝へ。一つ目の目標の「連覇」に王手をかけ、決勝では東京都市大塩尻とぶつかった。
 両チームとも攻め手を欠いて0ー0で迎えた四回。先頭の清水陽真が左中間への二塁打で出塁すると、松宗監督は勝負に出た。いや、正確には、清水が二塁打を放つ前から指揮官は勝負を仕掛けていた。
 四回の攻撃前。松宗監督は5番漆戸大晟に「(4番の)清水が出るから、どんな状況でも強攻するぞ」と声をかけた。その言葉が予言なのか、漆戸へ奮起を促すためのものなのかは分からない。しかし、言葉通りに出塁した清水を二塁に置き、打席に向かう漆戸に迷いはなかった。2ボールから内側にきた直球を強振。左中間への適時二塁打で均衡を破り、試合の主導権を握った。



 1年前の甲子園では、初戦の2回戦で岡山学芸館に0ー3で敗れた。清水、漆戸と共にその舞台を経験した主将の久保田悟は「悔しい思いをした。その思いをぶつける覚悟で(新チームを)スタートした」と振り返る。春季大会は中信予選準決勝で公立の松本深志に敗れ、県大会は準々決勝で佐久長聖にコールド負け。うまくいかないことの方が多かったが、新チーム発足時に立てた目標は決して変えず、夏の頂点まで駆け上がった。

 二つ目の目標に挑んだ甲子園の初戦。三重との2回戦は4点を追う九回に2点を返す粘りを見せ、なお2死一、三塁と攻め立てたが、代打大島悠史の打球は二塁手の正面を突き、松商学園の挑戦は終わった。