長野県全域から309人の小学1年生以下の子どもたちが集まり、新しい形式のサッカー大会「未来キッズフェスティバル」が12月7日、松本市のかりがねサッカー場で初開催された。雪がちらつく寒空の下、会場は子どもたちの元気な姿と、応援する保護者の声で熱気に包まれた。
この大会の特徴は、独自の試合形式にある。4対4の対戦を、20m×16mの特設コートで行う。サッカー経験に差がある年代のため、ビギナーコートとエキスパートコートの2つを設置。予選コートで勝利したチームが決勝コートに進み、決勝で勝てばポイントが入る仕組みだ。通常の大会と異なり、予選コートで負けても、子どもたちは制限時間内であれば何度でも再挑戦ができる。2時間の間に最も多くのポイントを集めたチームが優勝となる。
またこの大会では、小学1年生以下の経験が少ない選手でも参加できるように、助っ人制を導入。チームごとに助っ人を集められ、サッカーチームやスクールに所属していない子どもも参加できる。63チームが参加したこの大会は、まさに「誰でも挑戦できる場」となった。
企画したのは、かりがねサッカー場の指定管理者・株式会社信州グリーンとFC VICUSの恒本大輔代表だ。「みんなの熱狂を生みたい」。長年松本山雅FCのアカデミーで指導してきた恒本代表の思いには、地域のサッカー文化を育てる狙いが込められている。
「サッカーって楽しい」。そう感じるきっかけを子どもたちに提供することが、競技人口の底上げにつながると考える。 また指定管理者の信州グリーンは「かりがねサッカー場の天然芝グラウンドを、地域の人たちにとっても身近な場所にしたい」という思いを込めた。
「このようなフェスティバルが長野県内各地に広がって、地域全体で競技人口を増やす取り組みになれば」と恒本代表。長野県サッカー協会や地域の指導者たちが主体的に関わり、次世代の子どもたちに挑戦の場や成長の場を提供できれば、地域のサッカー文化はさらに発展する。助っ人として参加した子供たちがサッカーの試合に触れる機会はそれぞれのチームの普及活動にもつながるだろう。
参加した子どもたちからは「また大会に出たい」「もっと練習して次も優勝を目指したい」という声が上がった。松本市出身の恒本代表が描いてきた「今までにない子どもたちの熱狂と挑戦の場を作りたい」という想いは、確かな手応えとともに第一歩を踏み出した。
【トップストーン伊那A:エキスパートコート優勝チーム】
【ボニートンジュニア:ビギナーコート優勝チーム】
【恒本 大輔 代表】
今までにはない子供たちの熱狂と挑戦する場を作りたいと描いてきた企画が実現しました。このフェスティバルが地域の皆さんと一緒に10年20年続けていけたらと思っています。
取材・撮影/くりはら ともこ