背筋を伸ばし、神妙な面持ちで大会のオーダーに耳を傾ける子どもたち。「全力を出して頑張ります!よろしくお願いします」。清水美海(6年生)が応援する保護者へ向けて意気込みを発し、やる気みなぎる声が体育館内にこだました。
現在、島内剣道教室で稽古に励む剣士は年長から小学6年生までの約20人。7人いる指導者の中心となるのが、白木伸幸代表だ。自身も小学2年生から同教室で剣の腕を磨き、高校時代にはインターハイへ出場するなどの経験を持つ。
両足のアキレス腱を断裂する大きなケガを乗り越えながらも剣道に打ち込んできた白木代表。剣道で培ったことは「我慢強さと、諦めないことの大切さ」と即答する。「勝敗が決まる以上、勝ちにはこだわるが、こだわりすぎる必要はない。彼らはまだ小学生、自分が納得できるまで続けることが大事」と願う。
練習は初級・中級・上級の3つのグループに分かれて行われ、初心者の受け入れ体制も整っている。熟達度に応じて地区大会や県大会など各種大会へ出場するが、「4〜6年生の人数が多いので、レギュラーメンバーを固定せず、常にメンバーを入れ替えて臨んでいる」と公平性を重んじる。
出場メンバーは教室内で試合を行い、その結果やポジションの特性を踏まえて選抜。1つの大会で選ばれなかったとしても「次こそは!」と練習に力が入り、お互いに切磋琢磨できる好循環が生まれている。
その成果は着実に表れている。2024年の夢・国宝松本城剣道大会では清水を含む2人が7人抜きを達成。今年4月の第68回松本市市民スポーツ大会剣道競技会でもAチームが優勝の座を勝ち取った。
強くなるために必要なこととして白木代表は「指導者から言われたことだけではなく、自分でどうしたらよいかを考えることも重要」と説く。「押し付けるような指導はしない。子どもたちは体格も特性も違うので、教えてもらったことに対して、自分だったらこう付け加えたらいいのではないかと工夫してほしい」と話す。
6年生の白木翔莉は、その教えを実践している一人だ。「以前は先に1本を取られてしまうと焦ってしまっていたけれど、どうしたら強くなれるかを自分で考えて、もっと冷静に戦おうと心がけるようになった」と自分の課題を分析して克服を目指した。
その結果、5月のパナソニック杯第20回全日本都道府県対抗少年剣道優勝大会長野県代表選手選考会では上位12人に選ばれるなど成果として表れた。白木翔莉自身も「練習や試合で経験を積んだことで、自分の気持ちをコントロールできるようになりました」と成長を実感している。
6月中旬から7月にかけ、毎週のように大会への出場を予定する剣士たちへ向けて白木代表は「このチームで戦おうという意気込み、しっかり団体力を持って臨んでほしい」と激励した。
【6年生 白木 翔莉 くん】
キツイと感じる練習もあるけれど、続けてきたことで、練習の厳しさよりも勝てた時の喜びの方が勝るようになりました。7月の第20回全日本都道府県対抗少年剣道優勝大会長野県代表選考会で上位5位に入って大阪で行われる全国大会へ出場することが目標です。
【6年生 清水 美海 さん】
姉の影響で、年長から剣道を始めました。今まで剣道を続けて自信がついたことで、声も大きくなりました。夏の稽古では暑さで息が上がり、辛いと感じることもありますが、試合で勝った時の喜びや達成感があるので、より頑張ろうと思えます。
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取材・撮影/児玉さつき