地域スポーツ

【岡谷田中タイガース】     自分で考える野球を実践     全国舞台を目指す

前日から降り積もった雪がグラウンドを真っ白に埋め尽くす中、はつらつとした声を掛け合う選手たち。息を白く染める厳しい寒さに負けることなく、キャッチボールやノックなど、野球の練習に打ち込んでいた。
 1974年発足の「田中タイガース」と「ストロング岡谷」が合併し、2015年「岡谷田中タイガース」として始動。さらに2年前には「湊ジュニア」のメンバーが加わり共に活動を開始。2024年シーズンを終えて6年生7人が卒団し、現在は5年生10人、4年生4人の計14人で活動している。現時点では3年生以下の選手がいないため、単独チームとしての試合出場が難しくなる可能性も抱えている。


 しかし、少数精鋭のチームは着実に成果を上げている。2024年8月の第32回ミズノカップ県学童軟式野球大会では、6年生を中心に、38チームが参加する中でトーナメントを勝ち抜き、三つ巴の決勝戦まで進出。惜しくも他2チームに敗れはしたものの、第3位の成績を収めた。新チームのキャプテン花岡玄都は「苦しい試合の連続だったが良い経験となった」、同じく5年生の畔上翔太は「ピッチングやバッティングでチームの勝利に貢献できた」と、手応えを口にする。
 新チームを率いる畔上慎吾監督は、選手の自主性を重視した指導を心掛けている。「野球のプレーに関してはもちろん、自分たちで考えて行動した結果が良かったのか悪かったのか。結果についても選手が主体となって話し合う」とし、「試合の結果が振るわなかった場合も、何が悪かったのかまでしっかりと振り返り、どのように改善すれば良いのか子どもたち自身で考えてもらう」と方針を語る。


 練習では「試合でできたこと、できなかったことを分析し、その反省を練習メニューに取り入れる」ことを重視する。「エラーをしない人は絶対にいない。エラーをしてしまったときに、その子のせいにするのではなく、その子が次に良いプレーができるように、声掛けや雰囲気づくりなど、チームとして何ができるかを考えることが大事」と畔上監督は強調する。
 そうしたチームワークの構築をコミュニケーション能力の向上にもつなげ、将来社会人になってから役立ててほしいという。

 「2025年シーズンの目標は全国大会出場!」と花岡キャプテンが力強く宣言する。4月には全国大会へつながる唯一の大会、全日本学童大会マクドナルド・トーナメントの予選がスタート。自ら考える指導のもと、チームの弱点を克服し、全力で目標達成に挑む。


【キャプテン 花岡玄都 くん】
小学2年生の時に、友達から誘われて体験に参加したことが野球を始めたきっかけです。今年はキャプテンとして、チームのメンバーと積極的にコミュニケーションをとることを心掛けて、気軽になんでも話し合えるチーム作りをしたいと思っています。

取材・撮影/児玉さつき