2024年12月8日、雪の降りしきる岡谷市やまびこ国際スケートセンター。第29回やまびこカップスピードスケート競技会に出場した岡谷スケートクラブは、中学女子500mで表彰台を独占した。向井美桜が優勝、塚田澪が2位、児玉紗和子が3位。向井は1000mでも制し、2冠を達成。他の種目でも北村友星、金澤光希、児玉莉紗子、北村星香、広瀬絢女、小湊花、北村乙月、塚田涼佑、久保田大馳、児玉明嶺、石井佑樹らが入賞を果たした。
小中学生合わせて23人が所属する同クラブでは、3人のスケート専門コーチと1人のトレーニングコーチが指導にあたる。シーズン中は週4~6回の氷上練習。氷点下の厳しい寒さと向き合いながら、技術の向上を目指す。
オフシーズンも充実した練習環境が整う。山田みずほコーチが担当する陸上トレーニングでは、年齢に応じたプログラムを実施。小学生は運動遊びを通して基礎的な運動能力を養い、中学生は高校進学を見据えた体づくりに取り組む。
「体を動かすことの楽しさを伝えたい」という山田コーチの言葉通り、その効果は着実に表れている。小学4年生からクラブを続ける北村友星は「夏季の陸上トレーニングで体力が付き、足も速くなった」と実感する。
スケート指導では、選手の自主性を重視。「子どもたちが自ら試行錯誤し、技術の向上につながるように、押し付けではなく、投げかけるような言葉を心掛けている」と稲葉恵美コーチ。稲葉英樹コーチも「せっかく練習に来たなら楽しんで、満足した気持ちで帰してあげたい」と語る。
自身もスケート競技者だった指導陣は、選手たちの苦労を知り尽くしている。「寒さに耐える競技。辛いのは分かっている」と口をそろえる。小湊勇樹コーチは「キツイ練習を積み重ねてきたことが力になり、レースも落ち着いて臨むことができる。練習が辛いのが分かるからこそ、選手たちには目標を達成させてあげたい」と温かい眼差しを向ける。
1月6、7日の第63回長野県中学総合体育大会では、北村友星、塚田澪、野明柚希、金澤光希、向井美桜が入賞。城倉悠太、児玉紗和子を加えた7人が、2月の第45回全国中学校スケート大会への出場権を獲得した。寒さに耐え、培った技術と精神力で、全国の強豪に挑む。
【中学3年生 北村友星 さん】
スケートでのやりがいは目標タイムをクリアすること。スケートを続けてきたことで、体力や忍耐力が養われ、根気も強くなったと実感しています。今シーズンはA級のタイムに近づくことを目標に頑張ります。
【写真左から/ 稲葉英樹コーチ、小湊勇樹コーチ、稲葉恵美コーチ、山田みずほコーチ】
大会の結果だけを見るのではなく、片足に乗れた、クロスができるようになったなど、技術的な向上にも目を向けて、ぜひ楽しみながらスケートを続けてもらいたいと思います。(稲葉英樹コーチ)
スケートを通して、自分自身も様々な経験をさせてもらいました。辛い練習に耐え、努力を積み重ねて目標を達成した経験を、ぜひ今後の人生でも活かして欲しいと思います。(小湊勇樹コーチ)
スポーツは体で感じて、自分自身でコツをつかんでいくことが重要です。こちらから押し付けて蓋をしてしまうのではなく、自らコツを掴むきっかけになるような指導を心掛けています。(稲葉恵美コーチ)
小中学生では、体の基礎づくりを目標に、スケート競技に限らず、どのスポーツにも必要な体の使い方や体力の向上を目指します。また、ケガをしないための体づくりも指導しています。(山田みずほコーチ)
取材・撮影/児玉さつき