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【山田勇佑/陸上】       仲間と挑む金メダルへの軌跡

2028年に長野県で開催される第27回全国障がい者スポーツ大会(信州やまなみ全障スポ)。地元での晴れ舞台を見据え、県内の障がい者アスリートたちは日々の練習に熱い情熱を傾けている。その大きな目標に向かって「しなの木」の仲間と共に切磋琢磨し、陸上男子1500メートルでの出場を目指して着実に実力を伸ばしているランナーが山田勇佑だ。

 山田が走る楽しさを知ったのは、波田小学校3年時のこと。当時、養護学級に所属し通常学級の児童との交流機会が少なかった彼に、通常学級の担任教師が「クラスのみんなと一緒に走ろう」と声をかけた。子どものころは特に走ることに興味はなく、どちらかと言えば室内での細かい作業を好む少年だったが、仲間とともに走ったことの楽しさが、山田の心に走る喜びを強く植え付けた。


 松本養護学校高等部へ進学すると毎朝のランニングが日課となり、校内マラソンで競い合う中で、内に秘めていた「負けん気」が開花。2016年に県障がい者スポーツ大会へ初出場して少年の部で初優勝を飾ると、破竹の勢いで勝利を重ねた。コロナ禍の中止を経て、2023年には4分42秒75をマークし青年の部・従来記録を大きく塗り替える。県大会の連覇記録は2025年9月時点で「7」を数え、現在は8連覇に向けて突き進んでいる。
 山田の挑戦は全国の強豪が集まる大舞台へと続く。前年の実績から選出され初出場を果たした2024年の第23回全国障がい者スポーツ大会(SAGA2024)では、見事に3位(銅メダル)に輝いた。しかし、山田が心に抱いたのは悔しさだった。レース後、母に宛てた「3位でごめんね。」という言葉。その悔しさを糧に、山田はさらなる進化を誓う。コーチ陣から指摘された「体のブレ」を克服し、3食の栄養管理や5キログラムの減量を経て、2023年には松本マラソンでフルマラソンを完走するなど、長距離への適応力と忍耐力も培ってきた。その努力は今年6月のスペシャルオリンピックス・夏季ナショナルゲーム東京大会で結実する。予選を全体1位のタイムで通過すると、翌日の決勝では自身の壁を打ち破る4分30秒05の自己新記録を叩き出し、堂々の金メダルを獲得した。


 現在の山田は、所属するチームで仲間たちと競い合いながら技術を磨く一方で、仕事終わりには毎日約10キロメートルの自主練習を重ねている。「様々な景色を見て走るのが楽しい」と語る山田は、その日の気分に合わせて走る場所を自ら変え、前向きにトレーニングに励む。
 家族の温かいサポート、そして指導者やかけがえのない仲間たちの応援を背に受け、山田が憧れの視線を送る未来のゴールは、2028年の「信州やまなみ全障スポ」の舞台だ。仲間と共に、いつか信州の地で最高輝度のメダルを掲げる夢を胸に、若きランナーは今日も一歩一歩、ひたむきに走り続ける。

【Profile】
山田勇佑(やまだ・ゆうすけ)陸上
2000年10月18日生まれ。松本市出身。
波田小学校、波田中学校、松本養護学校高等部を卒業後、現在は「しなの木」「上伊那RUN JOY」「松本SO」「飯田SO」「上伊那SO」に所属。2024年全国障害者スポーツ大会1500m3位、2025年県障がい者スポーツ大会1500mで7連覇を達成、さらに2026年にはSO夏季ナショナルゲーム東京大会で金メダルを獲得した。

取材/児玉さつき