地域スポーツ

【山形少年サッカークラブ】               チャレンジをほめて育てる 

週末の山形小学校のグラウンドに、子どもたちの弾けるような笑顔と、コーチたちの活気あふれるポジティブな声掛けが響き渡る。山形村を中心に活動する「山形少年サッカークラブ」は、発足から45年以上の歴史を持つ。長年培ってきた情熱が今も絶えることなく息づき、未来の選手たちのために着実な歩みが続けられている。

 現在、クラブに所属するメンバーは未就学児のキッズから小学6年生まで、合わせて約100名にのぼる。「友だちが楽しくサッカーをやっているから」と子どもたちが互いに誘い合い、徐々にその輪が広がってきた。クラブの特徴は、その充実した指導体制にある。現在は団員100名に対して、総勢30名もの指導者が在籍する手厚い体制を整えている。各カテゴリーに専任の担当コーチを4〜5名ずつ配置。夏の時期には朝の涼しい時間帯を活用するなど、安全面や体調管理にも細心の注意を払いながら指導を行っている。この安心できる環境があるからこそ、男女を問わず、多くの選手たちがピッチをのびのびと駆け回っている。

 チームを支える指導陣の顔ぶれは実に多様だ。3年生を担当する桃井孝幸コーチは、子どもの頃から野球一筋でサッカーの競技経験は全くなかった。しかし、息子の入団を機に、望月雄太監督から「技術ではなく、まずはモチベーターとして入ってほしい」と誘われたことで指導の道へ進み、指導者ライセンス(Cライセンス)を取得した。講習会ではサッカー経験者たちに必死に食らいつき、レベルの壁を越えて対等に支え合えるサッカーの本質に深く感動。その経験が大きな自信となり、現在は失敗を恐れず挑戦した事実を褒めるポジティブな言葉掛けを徹底している。また、2年生の指導に当たる松尾雄太コーチは、自身も長野県選抜に選ばれた実績を持ち、月ごとにテーマを絞り、今は「ボールをしっかり蹴って、しっかり止める」という基本の習得に励む。日々の練習では、ストレッチなどのウォームアップから始まり、月に1回を目安に行う練習試合や毎日のミニゲームでその成果を試し、見つかった課題を次の練習で改善していく。日々のゲームを通じて「壁にぶつかってもチャレンジして乗り越える喜び」を味わってほしいと願う指導がここにある。

 そして、今年から携わる塚田百佳コーチが指導するキッズカテゴリーには、サッカーが大好きな小さなアスリートたちが集まる。遊びの中にサッカーの要素を取り入れたメニューを実践し、コーンで囲った中でのボールお散歩や、しっぽ取りゲームを通じて、自然とステップや走力を養っていく。最初は手で、慣れたら足でボールをピタッと止める「だるまさんがころんだ」など、楽しみながら「できた!」という成功体験を重ねている。練習後の体育館のモップ掛けすら「自分がやる!」と元気に競い合うキッズたちの笑顔が印象的だと言う。
 指導陣が共通して心掛けているのは、試合の勝敗だけではなく、子どもたち自身が「自分で考えて、自ら動く」という自主性を育むことだ。指導者が上手に問いかけながら根気強く導いていく。技術以上に、言葉遣いや仲間への思いやり、グラウンドへの感謝、対戦相手への敬意といった「感謝とリスペクトの精神」を丁寧に説く。人へのリスペクトは、サッカーの枠を超え、将来社会に出てからも役立つ大切な人間力として、このピッチの上で確かに育まれている。

【年中 上條詠士 くん】
保育園で上手なお兄ちゃんたちを見て、自分も上手になりたくて5歳から入りました。週に1回の練習でみんなとやる「しっぽ取り」が一番楽しいです。もっと練習を頑張って、将来はプロのサッカー選手になりたいです!

【小学2年生 小林瞭然 くん】
ワールドカップを見て年長から始めました。家でも練習して、リフティングがうまくなってきました。シュートが決まるととっても嬉しいです。コーチが楽しく教えてくれるので、練習の日が楽しみです。将来は日本代表になりたいです!

【左から、コーチの松尾雄太さん、塚田百佳さん、桃井孝幸さん】

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取材・撮影/児玉さつき