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【小林千奈乃・堀内このみ:新体操】高め合い、支え合って躍進

高め合った集大成を、全国の舞台で発揮する。昨年のインターハイ新体操女子個人で4位、リボンで5位に輝いた小林千奈乃。堀内このみは県高校選手権で個人総合優勝を果たし、小林とともに第40回全国高校選抜大会への出場権を獲得した。
 4歳で「Wing」の幼児クラスを体験し、踊る楽しさに魅了された小林。6歳で体の柔軟性を生かしたいと新体操を始めた堀内。高校2年生となった今、もしかしたら家族よりも長い時間を共有しているかもしれない――と、2人は振り返る。

 小林は堀内について「昔からずっと負けている唯一の存在。一番近くにいるライバルとして、どんなうまい人よりも負けたくないと意識してきた。ライバルであり、唯一の同期。堀内さんがいなかったらここまで頑張れていなかった」と語る。
 堀内も「お互いに気が強く、喧嘩をすることもあり、本当に仲が良いの?と今でも言われる。でも、辛い時に一番近くで支えてくれた。3年生がいない今は、2年生2人でチームを引っ張っていかなければならないが、自分はリーダーシップが苦手。小林さんがいてくれるから成り立っている」と話す。互いにかけがえのない存在だと認識している。
 インターハイで2年連続の好成績を残す小林は、昨年の日本代表チーム合宿で大きな転機を迎えた。「それまでは技の成功や失敗に意識が向いていたが、自分の良さは何か、自分にしかできない演技を見せるにはどう表現すべきかを考えるようになった」と、さらなる成長を目指している。

 昨年初めに右手首を負傷した堀内は、9月の国民スポーツ大会で県代表として少年女子総合(個人+団体)第5位に貢献。「個人でも目指す演技ができ、団体も練習の成果を発揮できた。練習は本当にキツかったが、努力は報われると初めて実感できた」と、ケガからの復活を振り返る。

 4月から高校最後の年を迎える2人。オリンピック後のルール変更により「音楽の特徴をどれだけ伝えられるか。表面的なものではなく、内面からの気持ちを表現しているかが問われる」と鈴木あおいコーチは指摘する。小林は「演技を通して自分の気持ちや感情を出すことが課題。インターハイで表彰台に立ちたい」と意気込み、堀内も「表現することが苦手だが、お世話になった方への恩返しとして、心からやり切れる演技を一つでも多くしたい」と目標を掲げている。

Profile 小林 千奈乃(こばやし・ちなの)
2007年10月2日生まれ。松商学園高2年生。4歳の時にWingの体験に行き、新体操を始めた。新体操をしている時が一番自分らしく、心から新体操が好きと実感している。高校1年生の時にインターハイに初出場し、個人総合5位入賞。2年時には順位を1つ上げ、個人総合4位に入った。

Profile 堀内 このみ(ほりうち・このみ)
2007年11月2日生まれ。松本国際高2年生。6歳の時に体の柔らかさを生かせる習い事をと考え、Wingの体験に参加したことがきっかけとなり、新体操を始めた。途切れずに流れのある演技を強みとし、県高校新人大会では2年連続で個人総合優勝を果たしている。

取材/児玉さつき