青空の下で球場の外周を走り終え、約1時間の体力トレーニングに励む選手たち。中学硬式野球・安曇野リトルシニアの古幡彰監督は「体力づくりは冬のイメージがあるが、ここでは通年で力を入れている」と話す。パワー、瞬発力、スピード、スタミナ。野球に必要とされる身体能力の総合的な強化を目指している。
「シニアはあくまでも彼らの野球人生の通過点。高校野球へつなげるためには、そこで通用する力を養う必要がある」と指揮官。実際に選手たちは成長の実感を口にする。安里直人は「筋肉がついてパワーがアップしたと同時に、走り方のフォームも細かく指導してもらえたので、スピードもついた」。モリス漣主将も「2年生の時に7秒台だった50m走のタイムが、今年の春には6秒1まで縮まった」とうなずく。
こうした環境から有望株も生まれている。モリス漣は7月に行われたMCYSA全米選手権の日本代表に抜擢されて優勝。2年生女子の宮田菜穂も7月末の日本リトルシニア第7回Girls Championship に信越代表として出場した。
安曇野穂高少年硬式野球連盟として1974年に発足し、今年で50周年の大きな節目。市営有明運動場を拠点に毎週3回の練習を行うほか、秋春2回の県外遠征を実施。遠征では「11月に県外チームと対戦し、そこで見つけた課題を12月~2月の練習で克服する。3月に再度県外チームと試合をして練習の成果を試す」という。そこで可能な限り出場機会を確保する。古幡監督は「高校へつなげるには、野球を好きになってもらうことが大事。高校野球では試合に出られないことはいくらでもある。シニアでも9人に絞って指導をする方が楽だが、選手はいつ芽が出るか分からない。できるだけ多くの試合に出場し、経験を積ませてあげたい」と全員の成長を願う。
今季、全国につながる最後の試合となった6月のエイジェックカップ日本選手権信越大会。安曇野は2回戦で新潟西と対戦し、2ー8で敗退した。「チームとして結果が残せなかったことが悔しかった」と唇を噛む安里。試合終了後には仲間と汗をかいた日々を思い出し、涙がこみ上げてきたという。8月3〜4日の50周年記念大会が、3年生にとって中学最後の試合。1〜2年生にとっては、3年生4人の大きな背中に自分たちの課題が明確になったという。秋からは新チームでリスタート。課題克服をしながら、9月の信越連盟秋季大会と10月の新人戦に向かう。
写真左から/中学3年 山崎 壮真さん、モリス 漣さん、安里 直人さん、洞澤 晴琉斗さん
中学2年 宮田 菜穂 さん
友達に誘われ、小学4年生から野球を始めました。学年が進むにつれ、男子と同じトレーニングをキツいと感じることもありますが、そのおかげで体力が養われていると思うので、これからも同じメニューで頑張りたいです。
古幡 彰 監督
リトルでは約16年、シニアの監督としては12年目になりました。リトルでは全員がシニアに、そしてシニアでは高校野球へと、常に次の段階へ進んでほしいという思いを胸に指導してきました。そのためシニアでは、高校野球でも通用する身体づくりを心掛けています。
取材・撮影/児玉さつき