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【大町サッカースポーツ少年団】 挑戦する心を育てる

「もう一回やろう!」。納得のいくプレーができるまで何度も繰り返し、夢中になってボールを追いかける子どもたち。大町サッカースポーツ少年団の竹村仁志監督が絶対条件として掲げるのは、「サッカーを全力で楽しむ」ことだ。
 そのためには、止める蹴るといった基礎の定着が重要と言い、「学年が上がれば上がるほど、技術が伴わないと楽しいと感じられなくなってしまう。大人になって生涯スポーツとしてサッカーを楽しむために必要となるスキルを身につけるため、ピラミッドの土台の部分、一番ベースとなる部分の技術の習得には特にこだわっている」と話す。


 小学6年生のネグリ彪吾くんは「サッカーを始めたばかりの時は、全然うまくいかなくて楽しくなかった。でも、練習を続けるうちにどんどん技術が身について勝てるようになり、よりサッカーが楽しいと思えるようになりました」と、成長への喜びを実感する。
 監督自身も出身者という大町サッカースポーツ少年団は1969年に発足し、50年以上の歴史を持つ。竹村監督は、少年団を出てから中学・高校・大学と競技を続け、その後は社会人チームにも所属し、常にサッカーが傍らにある生活を送ってきた。
 「チームスポーツであるサッカーを通じて、今でもつながりのある仲間を得ることができた」と振り返り、「彼らにとっては、ここを出てからの人生の方が長い。僕自身、人生を歩んでいく上でサッカーが重要なツールとなった。だからぜひ選手たちにも人生を切り開くための良いツールとして、少年団を離れてからもサッカーを継続してほしい」と願っている。
 指導では、前述した基礎的なスキルの習得に加え、「チャレンジすることの大切さ」を説く。「チャレンジをしたときは、失敗することの方が多いかもしれない。失敗したら仲間に強い言葉を言われるのではないかと不安に思うかもしれない。しかし、チャレンジすることを恐れれば成長することもできない」と竹村監督。



 「世界の一流選手だって、たくさん失敗している。失敗してもいいからチャレンジしてほしい。成功体験が出た時にはそれ以上の喜びがある」と指揮官は続ける。子どもたちのチャレンジを促すために、「何でできないんだ!」といったネガティブな言葉がけは行わず、チャレンジした姿や、それによって得られた成功体験を褒めるように心掛けている。
 「チームメイトが褒められている姿を見ると、『じゃあ自分もやろう!』といった良いサイクルが生まれてくる」と嬉しそうにうなずく竹村監督。
 基礎力を培い、失敗を恐れずにチャレンジする精神を磨く大町サッカースポーツ少年団。昨シーズンはJFA長野県U│12サッカーリーグ2024安曇地区で見事優勝に輝いた。
 「今年は6年生が3人しかいないけれど、その3人には昨シーズン、先輩とともに各種大会に参加した経験がある」と竹村監督。6年生3人がキーマンとなってチームをまとめ、昨年手にしたリーグ戦優勝の栄冠を再び手にするためにベストを尽くす。

【6年生 仁科輝也 くん】
保育園の時からフットサルを始めて、試合にも出場したいと思い、大町サッカースポーツ少年団に入りました。練習を通じて、体力がついたと感じています。
【6年生 ネグリ彪吾 くん】
小学2年生の時に、何かスポーツをやりたいと思い体験に行き、一番サッカーが楽しかったので入団しました。将来は世界で活躍するサッカー選手になりたいです。
【6年生 太田大介 くん】
得点を決めたり、試合に勝てたときにスッキリとした気持ちを味わえることがサッカーの楽しさだと感じています。将来の夢はバロンドールをとることです。

取材・撮影/児玉さつき