高校スポーツ

【塩尻志学館高校 剣道部】    剣道を通じた人間形成を図り   目指すは来夏のひのき舞台

紺色の剣道着に身を包んだ剣士たちの気迫に満ちた掛け声が、剣道場に響きわたる。過去には全国大会出場経験を有する伝統ある塩尻志学館高校剣道部。現在は男女各3人、計6人の部員が週5日の稽古に励む。

 「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である」。この理念を体現するように、顧問の中島和成教諭は「剣道を通して人間力を高めることが大事」と語る。「強いだけが良いわけではなく、普段の生活も大切。社会人として世の中に出る時に生徒自身が恥ずかしくないように、着装や礼法といった基礎基本の指導も心掛けています」。
 同顧問・松田健一教諭も含め、2人は小学生から剣道を続けてきた経験を持つ。「『生涯剣道』という言葉があるように、剣道は年を重ねても続けられる武道。小さい子どもから年配の方まで同じ空間でできることも魅力の一つ」と中島教諭。高校からの初心者も「真っさらな状態から始められるので、指導する側も一から教えることができる」と歓迎する。


 その指導の成果は、部員たちの言葉に表れる。「剣道を始めてから、以前に比べて自分から挨拶ができるようになった」と部長の滝本一葉。副部長の丸山敦大も「礼儀作法が身についた。返事なども前よりできるようになった」と成長を実感する。
 今年6月の中信総体では2位に入り、県総体4位で北信越大会出場を果たした。「女子団体戦で先鋒が1本勝ち、次鋒が引き分け。自分は中堅で最初の1本を取られたが、2本取り返すことができた」とチームへの貢献に達成感を得た滝本部長。しかし北信越大会では「各県の代表選手との対戦で、練習に向かう姿勢や質の違いを感じ、まだまだ敵わない」と実感したという。


 「打ち込みの強さ、スピード、間合いの取り方の上手さ」。北信越の壁の高さを思い知った経験は、新たな目標となった。新人戦中信地区大会は女子団体2位、女子個人で上嶋柚輝が1位、滝本が4位と好成績を収める。1年生が中心の同部には伸びしろがある。11月の新人戦での北信越大会進出、そして来年の高校総体では団体のインターハイ出場を目指し、日々の稽古に汗を流す。

【部長 滝本 一葉 さん】
今年の高校総体の北信越大会では、女子団体戦は予選リーグで敗退してしまいました。ですが3年間の部活動の中で、団体戦ではインターハイ出場、個人戦では北信越出場を目指し、より一層稽古に励んでいきたいと思います。

【副部長 丸山 敦大 さん】
剣道は中学の部活動として始めました。初めて練習試合に出場した時に2本を取り、チームの役に立てたと、嬉しく感じたことが印象に残っています。高校でも大会で結果を残せるように努力したいと思っています。

取材・撮影/児玉さつき