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【古池茉耶:競技ダンス】呼吸するようにステップを プロ1年目で魅せる成長

 ダンスは「自分の価値を証明できるもの」。 この春に大学を卒業しプロキャリアをスタートさせた新星、古池茉耶はそうほほえむ。5月開催の東部日本ダンス連盟主催C級ダンス競技会スタンダード部門にて優勝を飾り、最初のステップを力強く刻んでみせた。年度末にはB級競技会に出場予定。現在は東京都のカワハラ・ダンススタジオに所属し、講師として活動するかたわら自己研さんに励んでいる。

 競技ダンスとの出会いは6歳。知人が営む教室に通い、気付けば踊ることが好きになっていた。今では頭で考えなくとも動きが身体に染みついているといい、「根拠を言葉で説明するのは難しい」と苦笑する。 テクニカルなダンスを得意とし、ダイナミックでスピード感のある動きで「魅せる」のが持ち味。「踊っているときの背中がきれいだとよく言われます」とはにかむ。幼い頃から培った基礎は不動のもので、「身体の使い方や技術などのスポーツ的な要素は無意識にできる」と話す。逆に「表現的な要素は意識しないとできない」と自らの課題も口にし、最近は大会出場の際に「周りを見て雰囲気をとらえる」ことを意識しはじめたという。

 内なる技術を磨く段階から一皮むけて、自らの外へと感覚を研ぎ澄ます。「競技ダンスは2人でやるもの。以前は何も考えずに踊っていたけれど、相手を意識することも大切」と、パートナーとの呼吸を合わせる。会場の空気、音楽の雰囲気、すべてがダンスをつくる――。広い視野で環境をとらえ、自分の中に落とし込み、「表現」として表出する。考えずに動くことが得意だからこそ、「考え、意識すること」でますます己に磨きをかける。「まだまだ成長過程です」と謙虚に努力を重ね、さらなる開花を目指す。

 プロになることを決意したのは、大学卒業目前の3月。「海外へ挑戦したいと考えていたが、アマチュアでは実現が難しいと思った」と理由を語る。在学中にレッスンに通っていたカワハラ・ダンススタジオの代表、河原央氏の存在も大きかった。「論理的な指導で、私が説明できなかったことを一から言語化してくれる」といい、「河原先生のもとでプロ生活ができたら、有意義な時間を過ごせると思った」と信頼を寄せる。
 「小さい頃からできる環境があるというのは、すごく特別なこと」と周囲への感謝を忘れず、ステップアップを重ねてきた。ゆくゆくは海外挑戦を目指しつつ、「まずは早くA級をとりたい」と目標を掲げる。プロキャリアという広大なフロアで、夢への一歩を刻む日々は続く。


【古池 茉耶(こいけ まや)】
2000年6月1日生まれ、長野県松本市出身。6歳から競技ダンスをはじめる。獨協大学(東部日本学生競技ダンス連盟加盟校)に進学、競技ダンス部に所属。同時にカワハラダンススタジオ(東京都)に在籍し、元全日本チャンピオン河原央氏に師事。大学卒業後は同スタジオに講師として所属。2023年5月、東部日本ダンス連盟主催C級ダンス競技会スタンダード部門優勝。

取材/佐藤春香