「体格の差に関係なく、小さな者が大きな者に勝つことができる。そこに相撲の醍醐味がある」
小林雄矢監督がそう語る通り、この相撲クラブの土俵には、体格差を技術と精神力で跳ね返す勝負の妙味が息づいている。発足から約30年。創設者である笠原明夫氏の教えを受けた第1期生の小林監督が、大学卒業後に「地域への恩返し」を掲げて指導の道に入って以来、この場所は子どもたちが自分自身の可能性を追求する大切な拠点となってきた。

現在、中学生6名、小学生8名の計14名が在籍している。小林監督が戻った当初は5名ほどだったクラブ員数も、近年は10名以上が常時在籍。高い継続率を誇る背景には、メンバー同士の強い結束力と、互いを高め合える温かな環境がある。
指導の根幹にあるのは、「四股」「すり足」「腰割り」といった基礎の徹底だ。週2回、水曜の夜と土曜の午前という限られた時間の中で、怪我を防ぐための柔軟性向上と体づくりに注力し、質の高い稽古を実践している。小林監督が何よりも大切にしているのは、技術の向上以上に「相撲を好きになってもらうこと」。個々の体の発達に合わせた的確な個別のアドバイスにより、子どもたちはそれぞれの課題に前向きに取り組むと同時に、楽しみながら自らを磨いている。


日々の稽古で積み上げた自信は、土俵の上で大きな力となって花開いている。小学5年の髙木大雅は昨年の北信越ブロック大会で優勝を果たし、小学1年の白鳥蓮、主将の白鳥豪(小6)とともに2026年2月に開催した第16回 世界相撲大会 白鵬杯でベスト16入りを記録した。さらに第40回わんぱく相撲全国大会でベスト16に食い込んだ山岸龍生(小5)は、北信越ブロック大会で準優勝に輝き、第38回全日本小学生相撲優勝大会でもベスト16に進出。白鳥豪はアリーナ立川立飛で開催した第22回全国少年相撲選手権大会で準優勝するなど、全国の舞台でも一歩も引かない実力を発揮している。
相撲の魅力は、一瞬の立ち合いに凝縮される駆け引きと、体格差を覆す瞬発力にある。同時に、肌を合わせる稽古を通じて痛みを知ることで、他者へのやさしさや思いやりを学ぶ場でもある。監督や2名のコーチ陣は、一人ひとりの成長を親身に見守り、技術だけでなく、人間としての根っこを育てることに重きを置く。

「強いクラブを作る」こと以上に、子どもたちが相撲を好きな気持ちを大切に育む。その健やかな理念が、結果として全国で戦える強い力へと繋がっている。来年度、さらなる高みを目指す部員たちの挑戦は、これからも土俵の上で熱く続いていく。

【監督 小林雄矢 さん】
当クラブでは「相撲を好きになること」を根底に据え、一瞬の立ち合いに懸ける集中力や、体格差を跳ね返す醍醐味を伝えています。相撲の稽古を通じて、痛みを知り、相手を思いやれる「やさしさ」を持った子に育ってほしいと願っています。

【主将 白鳥豪 くん】
3年生の夏に入門しました。稽古では格上の方からも多くの学びがあり、頂いたアドバイスを忘れないよう意識しています。基礎練習はきついですが、全国準優勝という結果を出せた時は成長をより実感することができました。今年はもっと強くなって、様々な大会で良い成績が残せるように頑張ります。

【山岸龍生 くん】
柔道と両立しながら活動しています。昨年のわんぱく相撲全国大会ベスト16進出は自信になりました。白鳥豪くんのおかげで心も強くなり、今は頭をつけて押す技術を磨いています。すり足を徹底し、腰を低く保つことが課題です。相撲クラブの仲間と高め合いながら、今年は全国大会でさらに上の順位を目指します!

取材・撮影/児玉さつき
