8月2日、富山県富山市・岩瀬スポーツ公園。
35度を超える酷暑の中、信大附属中の選手たちがコートで奮戦した。全国中学生テニス選手権北信越予選男子団体、1回戦の相手は鯖江中央(福井)。野口真之介・吉長慧悟と大彌周・小菅晴輝のダブルス2組は勝利を収めたものの、シングルス3人は合計2ー3の惜敗となった。
それでも、目標を達成して力は出し切った。大会前、「一人一人がベストを尽くす。たとえ負けたとしても悔いを残さず、気持ちよく終われる戦い方をしたい」と話していた池谷宣輝キャプテン。その言葉通り、試合を終えた選手7人全員は、晴れやかな表情を浮かべていた。試合後のコンソレーション(敗者戦)では紫錦台中(石川)を下し、他県の代表校に負けない実力が備わったと確信できたという。
北信越大会は念願の舞台だった。過去2年間はともに県3位に終わり、北信越出場はならず。その悔しさをバネに「今年こそは県大会突破を目指そう」と一致団結し、目標達成に向けて個々の力を磨いてきた。より有利にゲームを展開するため、「最後は得意のバックハンドで決められるように、そこまでの試合の流れも意識して練習に打ち込んだ」と池谷宥輝は振り返る。
そして6月、全国中学生選手権県大会の男子団体。県内4校が総当たりで戦い、2勝1敗で準優勝。優勝した屋代高附属中には敗れたものの、才教学園中、市立長野中を破って北信越大会の出場権を勝ち取った。
全国中学生選手権県大会出場時
県内の中学部活動はソフトテニスが主流。硬式はスクールなど個人単位での活動が大半を占め、部活動を置く学校は限られる。信大附属松本中も「同好会」の扱い。選手の保護者が主体となって運営しており、過去には全学年を合わせてもわずか5人しか在籍人数がいなかった時期もあるという。そうした中でも子どもたちの気持ちに応えるため、保護者が尽力して今日まで続いてきた。
学校単位の活動で公式戦にエントリーするなら、団体戦は一つの醍醐味かもしれない。個人単位で活動する選手たちの出場がシングルスに集中するが、団体はダブルスとシングルスを合わせた合計5試合のポイント制。対戦校によってダブルスの組み合わせや出場順を検討するなど、綿密な作戦を立てて試合に臨む。「同好会で活動する楽しさは、試合に勝った時に仲間と一緒に喜びを分かち合えること」と池谷宣輝は話す。切磋琢磨しながら目標を達成し、歓喜をともにした今季。その成功体験が必ずや、次のステージに生きてくる。
後輩たちにも良い刺激になり練習にも力が入る
写真左/3年 キャプテン 池谷宣輝 さん
県大会は2年連続3位で北信越出場を逃してきましたが、3年生で北信越に進めたことはとても嬉しいです。この大会がテニス生活の区切りとなりましたが、高校でも続けていきたいと思っています。
写真右/3年 池谷宥輝 さん
小学4年生でテニスを始め、同好会へは先輩に誘われて入りました。試合でショットが決まって点が取れた時はもちろんですが、団体戦で北信越の出場権を勝ち取ったことは大きな達成感につながりました。
取材・撮影/児玉さつき