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【三郷サッカースポーツ少年団】    半世紀の熱意と誇り

今シーズンの練習初日となる4月6日。午前9時からの入団式を終えた選手たちは、我先にとグラウンドに飛び出し、懸命にサッカーボールを追いかけていた。

 三郷サッカースポーツ少年団(SSS)。1975年に発足し、今年でちょうど50周年を迎える。松澤宏幸監督をはじめ10人のコーチ陣が指導にあたり、その中には少年団出身のOBも少なくない。
 監督と三郷SSSとの関わりは、弟の松澤謙治コーチ(現在5・6年生チームを担当)の入団がきっかけだった。監督自身は小学生時代、空手に励み、少年団に携わりながら審判や指導者の資格を取得した。そのため少年団では挨拶や感謝することの大切さといった人間形成の面にも力を入れている。

 指導で特に重視しているのは「待つ」こと。「大人が簡単に手を差し伸べてしまうのではなく、『できるだけ待ちましょう』と保護者の方にも伝えている」と松澤監督。試合時には、ボールやブルーシートの片づけを選手たちが担当するが、「まだ慣れない4月当初は1時間以上かかることもある。それでも待つ」という。
 その姿勢を貫くことで、「最初は時間もかかる上にぐちゃぐちゃだったのが、徐々に早くキレイに片づけられるようになる。仲間と協力してやることの大切さも実感し、『ああしよう』『こうしよう』と意見も活発に出るようになり、助け合う気持ちも芽生える」と変化を説明する。
 そうして育まれたチームワークは練習や試合でも生かされている。新キャプテンを担う古賀聖也くんは、「良いプレーをしたときに先輩が『ナイス!』などの声掛けをしてくれたことが嬉しかった。自分も積極的に声を出してチームを盛り上げていきたい」と意気込む。
 シーズン中はリーグ戦やチラベルトカップ、ローカル大会など、カテゴリーごとに各種大会へ出場。「試合になると、親御さんだけでなく、祖父母も応援に来てくれる。それが子どもたちの励みになる」と松澤監督は語る。
 一方で「スパイクなど試合に必要なものを忘れた選手は出場させない」と厳格な一面も。そこには先代から受け継いだ信念がある。「子どもたちは今がピークじゃない。将来その子のためになることであれば、コーチ陣が悪者になって子どもを育ててあげればいい」
 その基準は誰であろうと不変だ。「たとえチームの中心選手でも同じ対応を取る。結果として試合に負けてしまうかもしれないが、自分で準備をしてきた子を優先して試合に出場させてあげたいし、忘れた選手にも悔しさをバネに成長してほしい」と願う。
 勝ち負けだけにこだわらず、子どもたちの将来を見据えた指導を心がける松澤監督。新たなシーズンに向けてグラウンドを駆ける選手たちの姿に、目を細めていた。

【キャプテン 古賀聖也 くん】

小学4年生の時に、三苫選手に憧れてサッカーを始めました。将来はサッカー選手になることが目標です。楽しいと感じるのは、試合で相手のボールをカットできた時やドリブルで抜けた時。キャプテンとしては「全試合全勝!」を目標にみんなと楽しくサッカーができるように頑張りたいです。

【副キャプテン 山本大牙 くん】

友だちが楽しそうにサッカーをしているのを見て興味を持ち、小学4年生の時に三郷SSSに入団しました。サッカーは得点を決めるまでに時間がかかり、点を取るのが難しいけれど、その分得点を決められた時はとても嬉しいです。副キャプテンとしては、キャプテンを支えてチームを引っ張っていきたいです。

【監督 松澤宏幸 さん】

6年生でも、サッカーを始めるきっかけとして入団していただけるサッカーチームです。サッカーが上達して途中でクラブチームに移りたいという場合も応援しますし、戻ってくることも可能です。中学高校でもサッカーを続けてもらえるように、サッカーを楽しいと感じてもらえる指導を心掛けています。

取材・撮影/児玉さつき