2026年4月12日、松本市の信州グリーンフィールド(かりがねサッカー場)にて、走行禁止のスポーツ「ウォーキングサッカー」の体験会が開催された。当日は晴天に恵まれ、松本市内外から老若男女が参加。激しい運動を伴わない新しいスポーツの形を通じて爽やかに〝いい汗〟を流した。本イベントは、同施設を管理運営する株式会社信州グリーンが初めて主催し、地域住民が気軽に足を運び親しめる場としての認知を高めることを目的に企画された。

ウォーキングサッカーは「歩く」ことを基本ルールとした球技の一種。最大の特徴は、走行、身体接触、強いキック、ボールを浮かせる行為がすべて禁じられている点にある。相手からボールを直接奪い取る行為も制限されるため、ボール保持者がパスやシュートを行うまで相手は近づけない。そのため接触による負傷や、焦りによる予期せぬ転倒といったリスクが極めて低く、年齢、性別、障害の有無を問わず、誰もが同じフィールドで対等に楽しめる「ユニバーサルスポーツ」としての側面を持つ。今回は勝敗もつけず、純粋に運動を楽しむことに重点を置いた。試合中に熱が入りすぎた際には審判が試合を止め、全員で「深呼吸」を行うなど、安全と楽しさを両立させる工夫も見られた。


同種目の指導を担当する「ウォーキングサッカー安曇野(WS安曇野)」は、2023年2月の発足以来、安曇野市や松本市を始め、行政と連携した体験会や運動教室を精力的に展開している。活動の理念に賛同する地元の企業がスポンサーとして支援しており、健康づくりの観点からも期待は大きい。松本市内から参加した小学6年生の男児は、「走るのが苦手で激しいスポーツは避けがちだったが、これなら勝ち負けを競わずに楽しめるから向いている。初めての人とも気軽にパスを回して協力できる」と笑顔を見せる。付き添いで参加し、自身もプレーは2回目という母親は「無理なく、どんな年齢の人でも楽しめる。いい意味で『ゆるっと』していて、子どもも伸び伸びと動けている」と、多世代交流の場としての価値を評価していた。


WS安曇野代表の山田武司さんは、「高齢でも2時間の活動で約5、000歩から7、000歩、子どもだと約9、000歩を記録する参加者もおり、無理なく高い運動効果が得られる。運動が苦手な人にこそ、遊びの延長として参加してほしい。長野県全体が元気になるお手伝いができれば」と話す。活動は今後、5月の安曇野市スポーツフェスティバルや長野市でのイベント参加など、さらなる広がりを見せる予定だ。走らないこと、むしろ「走ってはいけない」制約が、インクルーシブで新しい面白さをもたらしている。

【WS安曇野 代表 山田武司 さん】
安曇野市出身。2022年に他界した父の闘病生活を通じ、運動の重要性と「もっと寄り添えたのではないか」という深い後悔が活動の原点となった。設立から4年余りで行政や民間企業を巻き込んだネットワークを構築し、ウォーキングサッカーを通じた地域コミュニティの活性化に尽力している。

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取材・撮影/生田和徳
