地域スポーツ

【アンテロープ塩尻ジュニア】  自ら考えて「判断する」力を養い 大きく羽ばたくための土台作りを

約20年の歴史を誇るアンテロープ塩尻ジュニア。全日本Uー12サッカー選手権など各種大会で全国出場の実績を持つチームは、今年も好成績を収めている。6年生チームが県大会4位、5年生チームはJCカップUー11県予選で優勝、北信越大会では準優勝と着実に力をつけている。
 100人を超える選手が所属する同チーム。1年生から6年生まで学年ごとに分かれ、塩尻市桔梗小グラウンドで練習に励む。指導陣が重視するのは、「生涯スポーツとしてサッカーを楽しむための土台作り」だ。

 「止める」「蹴る」「運ぶ」という基本技術の習得を重視する一方で、画一的な指導は避ける。5年生コーチ兼代表の米窪政義は「一口に基本と言っても奥が深く、明確な到達点があるわけではない。学年のカラーもあるため、同じ基本の中でも強弱をつけ、ドリブルや守備など、それぞれの強みを伸ばす指導を心掛けている」と語る。
 指導陣に共通するのは、「子どもたちが自ら考えて、判断できるようになる」という理念だ。6年生チームの村上孝太コーチは「今なぜそのプレーが有効なのか、その場所にいる意味は何なのか。一つ一つの場面を切り取り、プレーの理由を掘り下げる」と説明する。目標は示すが、そこまでのプロセスは子どもたちに委ねる。

 練習でも工夫を凝らす。「1対1、2対2、3対2など、ただ漠然と人数を変えるわけではない。各シチュエーションがどんな場面を想定しているのかを具体的にイメージさせ、本番で生かすことを心掛けている」と村上コーチ。チームの特徴である対人の強さは、こうした地道な積み重ねから生まれている。


 11月の全日本Uー12サッカー選手権県大会。準決勝で松本山雅FC Uー12に1ー3で敗れた試合を、6年生キャプテンの小松和真は「ディフェンスラインの守備の甘さから2失点して、流れが一気に相手に行ってしまった。もしあそこで抑えられていれば、試合はまだ分からなかったという後悔はあるけど、改善点を見つけることができた」と振り返る。
 JCカップUー11北信越大会でジェス新潟東に敗れた5年生キャプテンの池田陽紀も「県外勢のプレスは速く、考える隙を与えてもらえなかった。来年はそれに勝てるようになって、全日本Uー12の全国大会に出場したい」と、次の目標を見据える。

 「未来のJリーガーの卵を大切に育てる」という看板に違わず、松本山雅FCのトップチームで活躍するDF樋口大輝、J2藤枝MYFCに育成型期限付き移籍中のDFモヨマルコム強志などを輩出した実績もある。日々の練習で培った「自ら考え、判断する力」。結果をポジティブに捉え、次のステップへと進む原動力とする。


【6年生チームキャプテン 小松 和真 くん】
小学4年生の終わりにアンテロープ塩尻に入り、そこからディフェンスに転向しました。コーチには対人の強さやプレスの寄せの速さ、ボール奪取の仕方などを教えてもらい、自分でも成長を実感しています。将来の夢はプロのサッカー選手になることです。

【5年生チームキャプテン 池田 陽紀 くん】
キャプテンとしては、チームメイトとのコミュニケーションを大事にしています。コーチからは、ボールが来る前にパスの出しどころを決めるといったアドバイスをもらい、先を読むことを心掛けるようになったので、焦らずにプレーができるようになりました。

取材・撮影/児玉さつき