月曜日の夜、ライトに照らされたピッチに子どもたちの快活な声が響く。「つばさクラブ」が発足して約11年、兼松直紀代表が抱き続けてきた「中学、その先へつながる土台を築きたい」という情熱は、今もこの場所の核となっている。ここはチームの勝敗を競う場ではなく、個人の技術を研ぎ澄まし、将来の選択肢を広げるための「スクール」だ。松本や安曇野、箕輪町といった幅広い地域から集まる子どもたちを惹きつけるのは、10名もの指導陣が一人ひとりの成長を多角的に見守る、充実した育成環境である。

スクールの特徴は、学年ではなく技術レベルに応じた「5つのクラス分け」にある。サッカーとの出会いの場となる「キッズクラス」から、A+・A・B+・Bと細かく分かれた編成により、下級生でも実力があれば上位クラスで挑戦できる環境を整えた。キッズを受け持つ松下尭拓コーチが最も大切にするのは「サッカーの楽しさを知ること」だ。技術の教え込みより先に、まずは「またやりたい」と感じてもらえることを重視する。メニューには身体の使い方や空間認知を養うエッセンスが緻密に組み込まれており、問いかけを通じて子ども自身に考えさせながら、一歩ずつ成長を促していく。その想いは子どもたちにも届いており、「月曜日のスクールが楽しみ」と話す北野みなのさんの笑顔が、このクラスの充実ぶりを物語っている。

一方、技術向上を主目的に、より実戦を意識したトレーニングを行うのが、副代表の平澤祐治コーチが率いる「Aクラス」をはじめとした上位クラスだ。平澤コーチは、その時期の子どもたちの様子に合わせて柔軟にメニューを考案し、練習の最後には必ずゲームを行って成果を試す場を設けている。このクラスの赤野蒼真くんは「前よりうまくなった実感がある。以前は大きくなっていたドリブルのタッチが細かくできるようになり、いろいろなプレーに挑戦できるようになった」と手応えを語る。
こうした上達への意欲は、最上位のA+クラスでも変わることはない。柳沢蓮央くんはレベル別の環境について「上手な子たちと切磋琢磨して上達できるのが楽しい。上のクラスを目指して進んでいく過程も楽しかったし、今はレベルの高い仲間と一緒にプレーすることで自分の成長を感じられる」と話してくれた。同レベルの仲間と競い合い、できなかったことができるようになる喜びこそが、全クラス共通の原動力なのだ。
この世代を貫くのは、兼松代表が掲げる「個のレベルアップ」という揺るぎない理念だ。小学生年代をゴールデンエイジと捉え、どのクラブに進んでも通用する技術と判断力を身につけることを何より大切にしている。90分の練習時間の中でメリハリをつけ、自分で考え判断できる選手を育てる。その視線はプロフェッショナルで、専門クリニックのトレーナーを招いた体幹指導や、長野県にゆかりのあるJリーガーなど多数のスペシャルコーチによる定期的な指導も取り入れている。ベテランから学生まで多様なコーチが揃うこの体制は、まさに個を育てるための最適解と言える。つばさクラブが授けるのは、技術という名の翼。子どもたちはここで得た確かな力を糧に、それぞれの未来へ力強く羽ばたいていく。

年中から小学6年生までを対象としたサッカースクール。指導陣は兼松直紀代表をはじめ、副代表の平澤祐治、松下尭拓、黒田宗人、井垣壮平、三原海翔、望月空。さらに学生コーチとして信州大学全学サッカー部に所属する、小林直生、髙野雅人、林理人、松井崚晟を加えた計10名 ※敬称略

【キッズクラス 北野みなの さん】
お兄ちゃんとお姉ちゃんが通っていて、楽しそうだったので年長から始めました。運動が好きなので、ウォーミングアップで身体を動かすのも楽しいです。通い始めてからサッカーが上手になっていると思います。

【Aクラス 赤野蒼真 くん】
友達から「いいスクールがあるよ」と教わったのがきっかけで、小学2年生から通い始めました。少年団の練習もありますが、サッカーが大好きなので疲れは全く感じません。将来の夢は、プロのサッカー選手になることです。

【A+クラス 柳沢蓮央 くん】
お父さんの影響で1年生からサッカーを始めましたが、もっと上達したくて3年生の時に友達の誘いで体験に来ました。ここでは基礎をしっかり身につけた後に、個人技を活かしたチームの戦術も学べるので、自分の成長をすごく感じています。

■体験、入会に関する詳細はQRからご確認ください


取材・撮影/児玉さつき
