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ゴールなくして勝利なし      明確な課題と向き合う

得点力不足という、明確な課題と向き合い続けている。
 J3リーグで上位進出を目指すAC長野パルセイロ。7月は首位のFC大阪に引き分け、ホームで松本山雅FCとの〝信州ダービー〟を制するなど、上昇傾向にあった。守備で3試合連続の無失点を記録すれば、そこから良い形で攻撃に転じる機会も増えてきた。


 しかし攻め手は作れても、決め手を欠く試合が続いた。3週間のサマーブレイクを迎える前は、5試合でわずか1得点。第21節の松本戦はFW進昂平のゴールで1―0と勝利したが、続くFC琉球戦では0―2と完封負けに終わる。白星の後には黒星が並び、開幕から未だに連勝がない。勢いをつかみかけては手放すようなサイクルだ。
 チームは琉球戦を終えたのち、3週間のサマーブレイクを迎えた。公式戦がない中で積み上げを図る期間。藤本主税監督は守備のブラッシュアップに着手しつつ、攻撃に比重を傾ける。練習試合でJ2カターレ富山に5―0と大勝するなど、改善の兆しも見えてきた。
 とはいえ、得点力向上は一朝一夕にはいかない。中断期間明けの第23節・ヴァンラーレ八戸戦。ホームに6連勝中の首位を迎えたが、結果は0―1と報われなかった。
 開始早々にセットプレーから失点を許すと、前半は攻めあぐねる展開が続く。それでも後半は全体の距離感を縮めながら、円滑なパスワークで相手のプレスを回避。ゴール前でフリーでシュートを打てるシーンを何本も作った。
 ただ、打てども打てども入らない。ミートせずに枠を外れたり、コースの甘さからGKに阻まれたり――。決め切るための技術もそうだが、メンタル的にも冷静さを欠いた。エースの浮田健誠も頭を抱える。
 「本当に手も足も出ないで、シュート数も少ないし、決定機もない状況ではない。だからこそゴール前でリラックスするところだったり『決めていれば…』と思うシーンはある」
 指揮官の言葉を借りれば、「『首位相手に良いゲームをしたな』で済ませられる時期ではない」。残り15試合の時点で得点数はリーグ最少。23試合で17ゴールという数字は、言葉を選ばずに言えば「深刻」だ。内容が上向いているだけに悩みは深い。



 裏を返せば、課題は明確である。「もちろんそれを背負いながらプレーしてほしいし、自分も監督として彼らがリラックスできる状況を作ってあげたい。『お互いに頑張っていこう』という話はした」と藤本監督。練習からチーム全員でベクトルを合わせ、難局を乗り越えられるか。

取材/田中紘夢