安定感を欠いたままの航海が続く。松本山雅FCは6勝5分8敗(勝ち点23)の12位で前半戦を終え、残り19試合の後半戦に突入。連勝は1回だけで連敗が2回と、コンスタントに勝ち点を積み上げられない。このもどかしさを振り払えるのか――。正念場がじわりと近付いている。

7月12日、第20節奈良クラブ戦。後半戦折り返しとなった一戦で、松本山雅は3―0と快勝した。キャプテン菊井悠介の鮮やかなミドルで先制すると、すかさず村越凱光が追加点。相手GKのポジションを確認し、センターサークル内からロングシュートを決めた。

この試合では先発を前節から入れ替え、高橋祥平や山本康裕などベテランを積極的に起用。経験がものを言ってピッチ内でも意思統一でき、攻守にコンパクトさを保ったまま戦えたのが大きかった。
「僕だけではなくて(高橋)祥平とか(小川)大貴とか経験ある選手がそろっていたので、技術や経験をピッチ上で証明できたらいいと思っていた」。山本康裕はそう振り返りながら、納得の表情を浮かべた。

勢いのつく白星ではあったものの、その次節は無残な敗戦。AC長野パルセイロとの信州ダービーだ。18年ぶりのリーグ戦アウェイ勝利を目指したものの、蓋を開けてみれば結果は0―1。前半から相手の勢いに押されるなどし、いいところないまま敗れた。
「まずは気持ちが入ってなかったと俺は思う。何もできなかった自分たちの力不足。準備とかいう以前の問題で自分たちが何もできなかったということはふがいなかったし、サポーターが怒るのも当然だと思う」
そう振り返る高橋。試合後には約3,500人で埋め尽くされた緑色のアウェイ席からブーイングも飛び出す。重みのある一戦で痛恨の黒星を喫しただけでなく、またしても連勝を逃す。安定した戦いができていない。

その要因はどこにあるのか――。
AC長野との一戦に敗れた試合、早川知伸監督は記者会見でその一端を口にした。「サポーターから言われた通り、本当に自分たちがやるべきこと、大事にしていたベースの部分にもう一度立ち返る必要があると思う。まずはそこがなかったら試合にもならないし、勝ちに持っていくことはできない」
「ベース」とは、「走る」「戦う」「諦めない」などといった、サッカーの根幹をなす要素のこと。キャンプから大切にしてきたはずだったが、浸透しているようで徹底しきれていない側面もある。
それらを改めて確認して再出発すると同時に、新たな戦力でパワーを上積みするアプローチも同時並行で進める。J2水戸ホーリーホックからMF川上航立を育成型期限付き移籍で引き入れたほか、関西学生リーグ1部得点王のFW藤枝康佑(桃山学院大)も特別指定選手としてデビュー。フレッシュな顔ぶれの力も組み入れ、逆襲の道筋を照らす8月としたい。

取材/大枝令
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