「一念通天」。硬い決心を抱いて一心に取り組めば、その努力は必ず天に聞き届けられ、物事を成し遂げることができる――。
昨年の代替わりを機に掲げたこの四字熟語をスローガンに掲げ、岡谷工業高野球部は練習に打ち込んでいる。小池昌信監督をはじめ、3人の指導陣は全てOB。過去4回の甲子園を知る伝統の古豪が、日々の練習に気概を込める。

1921年に発足し、100年以上の歴史を誇る同部。諏訪蚕糸時代の1930年には甲子園で準優勝という輝かしい実績を残している。4回目の甲子園となった第63回大会の指揮官だった両角亮介監督が一昨年引退し、教え子でもある小池監督がバトンを受け継いだ。
「野球が好きで入部したのに、嫌いになってしまっては元も子もない」と小池監督。「監督の独りよがりや、顧問の顔色を見てプレーするのではなく、野球を好きな気持ちがより大きくなるような活動をさせてあげたい」と、選手たちに寄り添う指導を心がけている。

「今は望めばなんでもすぐに手に入る時代。そんな時代に生きる生徒たちにとって、自分の思い通りに進まないことが多いスポーツに打ち込むこと自体が貴重な経験になる」との考えから、あえて大きな目標は掲げずに「毎日コツコツ積み重ねていく」という地道な姿勢を重視する。
現在の部員は3年生5人、2年生10人、マネージャー1人の計16人。小学3年生から野球を続けてきた堀井颯斗主将は「野球の練習はもちろん、先輩や監督との関わりなどが良い経験となった。野球を続けてきたことで肉体だけでなく精神的にも成長できた」と振り返る。
技術面では野球スキルだけでなく、「バットを振る、ボールを投げる動作において、自分のイメージと客観的なものとが一致できるような体づくり」を目指す。火曜日には外部講師を招いてウエイトトレーニングを実施するなど、トータルバランスの良い体づくりを実践している。

昨シーズンは夏の長野大会で3回戦まで進出。副主将の髙木尚太朗は「一つの勝利に向けて、仲間と思いをひとつにして進んでいきたい」と目を輝かせ、堀井主将も「野球に集中し、チームで同じ方向を向いて頑張りたい!」と力強く語る。
長きにわたる歴史を背負いながらも、日々の努力を積み重ね、未来を切り拓こうとする若者たちの姿がそこにある。

【主将 堀井颯斗 さん】
野球をしていた兄に憧れ、小学3年生の時に地元の野球チームに入りました。野球は個人のスキルだけでなく、チームワークも問われるスポーツ。キャプテンとしてチーム全体に目を配り、チームワークの向上にも努めていきたいと思っています。

【副主将 髙木尚太朗 さん】
小学1年生から剣道をしていて、野球は友達に誘われ、小学4年生の時に始めました。もともと打たれ強い方では無かったのですが、小中高と野球を続けてきたことで精神的にも強くなったと感じています。

【マネージャー 小林菜月 さん】
先輩や顧問の先生方、外部講師の皆さんなど、多くの人と関わらせていただいたことで、敬語の使い方や接し方などを学ぶことができました。部員のみんなが一生懸命練習している姿を見てきたので、試合では練習の成果を発揮してほしいと願っています。

取材・撮影/児玉さつき
